「夏までに身体を絞りたいけど、ついつい食べすぎてしまう」
「晩酌とお摘みが止められん」
「つい小腹が空いて、カップ麺食べちゃった」
皆さんは、日々の生活の中で ついつい食べすぎてしまった という経験はありませんか?私も晩酌ついでにパスタ作ってキメる習慣が抜けきれず 体重を大幅に増やしてしまった経験があります。
ちょw お前www
また食ってんのか???
この時間に食べるポテチほど美味いもんは無いっしょ
本当は健康的で理想的な身体にしたいのに、食欲の魔物に取り憑かれて ついつい食べすぎてしまうことってありますよね。
心の中では、これはダメだとわかっていても 自分の本能に抗えず食べてしまう経験は誰にでもあるかと思います。
実は、食欲の正体は科学的に判明していて これらをコントロールする戦略が存在するとしたら如何でしょうか。
そこで今回は食欲とダイエットの科学と題して、食欲をコントロールするための科学的手法を論文ベースで紹介したいと思います。
そもそも、食欲って???
食欲は、俗にいう三大欲求の一つです。
人間は当然生物ですので、食べないと死んでしまいます。よって、お腹が空いたときに食べ物を欲するのは必要不可欠な原始的欲求です。
生物の本能にプログラムされている欲求だから、抑えるなんて無理じゃない?
普通にやったらそうだな。
意志の力だけで食欲に対抗しても、きっと三日坊主で終わってしまうだろう。
この原始的欲求に抗うことは、通常極めて困難です。
人間誰しも、おトイレに行きたい欲求を無理やり抑えることはできません。同様の理由で食欲を無理やり抑えることは難しい というのは誰しもが経験済みかと思います。
進化心理学的に「我慢で食欲を抑える」は悪手
そもそも、進化心理学の観点で「我慢で食欲を抑えるのはそもそも難しい」とされています。
なぜなら我々の本能は
サバンナの時代から変わらない
からです。
サバンナと食欲に何の関係があるの?
人間の本能はサバンナの時代に刻まれたものなので、その時代の我々の生活を想像してみればわかると思う。
サバンナで狩猟採取民をやっていた我々は、基本的に飢餓状態でした。毎日荒野を走り回り獲物を追いかけ、やっと仕留めた動物を分け合って生き残ってきたのが我々です。
よって、カロリーが高そうなものを目の前にしたらすぐに食べて腹を満たすことが生存上最適な戦略です。
我々がマクドナルドのセットが大好物なのは
「大量の糖質と脂質を一気に摂取できるエネルギーの塊だから」
です。
このように、我慢を前提にした戦略は無意味通り越して悪手なのです。
…通り越して、我慢を前提として仮に痩せたとしても その後に待っているのは筋肉量の減少によるリバウンドかもしれません。
そもそも「意思力」に頼る時点で悪手
人間の意志なんて、大したことないゴミみたいなもんです。皆さんも今までにあらゆる決断をし、その度に失敗を繰り返してきたのではないでしょうか。
「筋トレしなきゃ」
「勉強しないと」
「毎日自炊して、食費を抑えよう」
これらを意志の力で継続しようとして、結局習慣化に失敗した経験を人生で何回も繰り返してきたはずです。
言い換えれば、意志の力で食欲をコントロールしようとしても 結局失敗してしまうのがオチです。
よって、意志の力に頼らない方法で食欲をコントロールする「戦略」が重要になるのです。
意志を使わないでコントロールできるなら、かなり楽かもね。
よし。ここからは、食欲の正体を解説し どのようなアプローチでこれをコントロールするか考えよう。
本能に逆らって食欲を抑えることがほぼ不可能であるなら、食欲を辛くない方法で抑えるしかありません。
そんな、魔法のような方法があるのでしょうか… あります。
食欲を抑える科学的戦略
これまで、食欲を無理やり抑えることは困難であり そもそも悪手であると述べました。
であるならば我々は継続可能で苦しくない方法で食欲を抑えるしかありません。
そんな魔法のような方法があるのであれば、すぐにでも実践したいですよね。
もったいぶらないで早く教えてくれ…!!
分かった分かった。
すぐに紹介してやるから待ってろ。
食欲を抑えるために必要なことは一体どのようなものなのでしょうか。できれば手軽に始められて成果の大きいことを意識して行っていきたいですよね。
ここからは、科学的にその効果が認められていて かつ手軽にできるという観点から食欲を抑える方法について考えていきたいと思います。
食欲を抑える科学的戦略① : タンパク質を多く摂取せよ
食欲は単に「お腹が空いたので食べたい」という原始的な欲求であることは承知の通りだと思います。では実際に身体はどんなものを食べることを求めているのでしょうか。
身体が本当に求めているものを積極的に摂取すれば、全体の食事量を減らせるかもしれません。
シドニー大学のシンプソン博士が2005年に提唱した論文では
「人は必要な量のタンパク質を摂取するまで、ご飯を食べ続ける」
と主張しています。
We show that, paradoxically, these are precisely the two conditions that potentially provide protein with the leverage both to drive the obesity epidemic through its effects on food intake, and perhaps to assuage it.
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1111/j.1467-789X.2005.00178.x
この主張を「プロテインレバレッジ仮説」と呼び、食欲とプロテインの摂取量はシーソーのような関係にあるのではないか と考えられています。
つまりタンパク質をたくさん摂れば、その分食欲が抑えられるってこと?
今日は冴えているな。その通りだ。
実際に研究でも、高タンパクメニューを摂った被験者の総摂取カロリーが優位に低いことが示されている。
ヒトはタンパク質を必要量摂取するまで食べ続ける… という主張を確実なものにしたのは 複数の学術論文をまとめて解析したメタアナリシスです。
2014年の研究を紹介します。タンパク質を多く摂取したグループは そうでないグループと比較して 総摂取カロリーが減っていたことが判明しました。
Data were collected from 38 published experimental trials measuring ad libitum intake in subjects confined to menus differing in macronutrient composition.
Protein leverage and energy intake
この研究は、関連する研究の中から質の高い38件の論文を抽出しまとめて解析したメタアナリシスになります。
よって、毎日の食事メニューにおいて意識的にタンパク質を摂取することを心がけるだけで 確実に食欲を抑えることができるようになるのです。
どれくらいのタンパク質を摂取すれば良いか?
タンパク質を摂取すれば食欲が抑えらえれ、結果摂取する総カロリーを抑えられることがわかりました。
では、一体どれくらいのタンパク質を摂取すれば良いのでしょうか。
2011年にシドニー大学で行われた研究によると「総カロリーの15~25%をタンパク質から摂取した場合、最も摂取総カロリーが減少した」ことが判明しています。
Urinary urea on the 10% and 15% protein diets did not differ statistically, nor did they differ from habitual values prior to the study. In contrast, increasing protein from 15% to 25% did not alter energy intake. On the fourth day of the trial, however, there was a greater increase in the hunger score between 1–2 h after the 10% protein breakfast versus the 25% protein breakfast (1.6±0.4 vs 25%: 0.5±0.3, p = 0.005).
https://journals.plos.or
待って 計算クソ面倒くさくない?
確かにな。
ただ、もっと簡単に計算できる方法があるから 高タンパクダイエット初心者は以下を参考にしてほしい、
総摂取カロリーの15~25%をタンパク質にすることはわかりました。しかし、計算が面倒でやる気が起きない方も多いのではないでしょうか。
もちろん、高タンパクダイエットに慣れてきた方は ここまでで紹介した内容で計算を行って適切なタンパク質摂取量を計算で求めても良いでしょう。
しかし、多くの初心者は以下の2点に注意していただければOKです。
- 日々の食生活で、タンパク質多めを心がける
計算が面倒臭いあなたにおすすめなのは、とにかくタンパク質をたくさん摂ることを心がけることです。
糖質や質の悪い油を、野菜と肉と魚に置き換えて プロテインを飲むことを習慣にするだけでひとまずOKです。 - 自分の体重×1.6 ~ 2g のタンパク質を摂取する
こちらは計算が少し楽なので、慣れてきたらこちらの計算式を目安にタンパク質摂取をしてみると良いでしょう。
何事もいきなり完璧を求めってしまってはいけません。習慣づけの偉大なる一歩は、すぐに始められる簡単なところから始めるのが定石です。
今回の場合だったら「とにかくタンパク質多めを心がけて食べる」ことから始めていただければOKです。
習慣化の科学的戦略については、すでにこのブログでも公開済みだ。
ぜひ参考にしてみてくれ。
食欲を抑える科学的戦略② : 日光を浴び 質のいい睡眠を確保せよ
どうやら、食欲と睡眠には密接な関係があるようです。
睡眠を適切に取ると、食欲をコントロールするホルモンが正しく分泌されるようです。
2004年の研究を紹介します。睡眠不足の場合、グレリン(胃で分泌)という食欲増加するホルモンが28%アップし レプチン(脂肪細胞内)と呼ばれる食欲現象ホルモンが18%ダウンしていることが判明しました。
Participants with short sleep had reduced leptin and elevated ghrelin. These differences in leptin and ghrelin are likely to increase appetite, possibly explaining the increased BMI observed with short sleep duration.
Short sleep duration is associated with reduced leptin, elevated ghrelin, and increased body mass index
実際に睡眠不足の人は体脂肪率が高いことが分かっていますが、これは身体のホルモンバランスが乱れ 食欲が増大してしまっていることが原因なのです。
睡眠と食欲が関係しているって驚きだな。。、
あぁ。適切に自己管理できていれば そもそも太ることなどあり得ないんだ。
もちろん何かしらの疾患を抱えていたらその限りではないがな。
人生において睡眠時間は1/3を占める極めて重要なファクターです。よって、この時間をハックすることが人生にもたらす影響の大きさは計り知れないと思います。
Quantum Gunでは、睡眠を科学的にコントロールする手法についても解説しています。ぜひこちらの記事も参考にしてみてください。
食欲を抑える科学的戦略③ : 運動習慣としてHIITを取り入れよ
運動自体が食欲抑制に効果があるようです。
特に短期間で成果を得られるHIIT(高強度インターバルトレーニング)は、食欲を優位に低下させることが研究で示されています。
2013年の研究を紹介します。運動の強度が上がるにつれ食欲を抑制するホルモンが分泌されるようになり、特にHIITは効果テキメンです。
High-intensity intermittent exercise suppresses subsequent ad-libitum energy intake in overweight inactive men. This format of exercise was found to be well tolerated in an overweight population.
High-intensity intermittent exercise attenuates ad-libitum energy intake
この研究は17人の太りすぎな男性を対象に行われた実験で、無作為化カウンターバランスデザインを用いて、以下の4つの30分間の実験条件を完了しました。
CON:安静コントロール
MC:中強度連続運動(60%VO(2peak))
HI:高強度間欠運動(100%VO(2peak)で60秒と50%VO(2peak)で240秒を交互に行う)
VHI:超高強度間欠運動(170%VO(2peak)で15秒と32%VO(2peak)で60秒を交互に行う)
参加者は、運動後に標準的なカロリーの食事を摂り、70分後にアドリビタムの食事を摂りました。毛細血管から血液を採取し、セッション中一定時間ごとに食欲を評価しました。実験日とその翌日の自由生活エネルギー摂取量と身体活動レベルも評価しました。
HIITって何?
20秒間本気で動いて10秒休憩する…. みたいなことを繰り返す運動のことだ。
世界一効率的な運動として 学会でもコンセンサスが取れている。
HIITの効果は食欲減退だけではありません。他にも多くのメリットがあります。
ハートを燃やす運動の科学は、以下の記事を参考にしてください。
如何でしたか?
今回は「食欲抑制」の観点でさまざまな学術論文を紹介してきました。
ぜひ 今回の「プロテインダイエット」から始めてみては如何でしょうか!
食事を使ったダイエットの素晴らしいところは、食ってOKだから基本的に努力をほとんど必要としない点だな。
確かに。
簡単に始められそうだから、ここから始めて 慣れたら色々試してみようかな
もしプロテインダイエットに慣れてきたら、体脂肪を効果的に落とすための科学的戦略についても学んでみてください。
こちらもQuantum Gunで紹介しているので、参考になります。
更に、今回の「食欲抑制」の隠れたテーマは自己コントロールでした。
科学的に「自己コントロール力」を鍛えることは可能であるとされています。更に意欲のある方は、自己コントロールの手法を学んでみてはいかがでしょうか。
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