日本は益々少子高齢化が加速し、世界でも稀に見る社会構造を呈してきました(というか、初めてなんじゃないか?)。
若者が急速に減少する一方で、高齢者の数は増加の一方で 生産人口で高齢者を支えるのはとっくに限界を超えています。
そんな高齢者の票欲しさに、政府は「高齢者に対して様々な優遇施策」をとってきました。
私の2023年の最も大きな買い物は180万円で、社会保障費だった。
僕の納めた社会保障費で、高齢者には湿布をたくさん買ってほしい。
うわぁ。笑
また、医療という産業の性質上 生命をやりとりする現場ということもあり
「医療に関する問題提起、意見を述べること」
は、(少なくとも専門家ではない市民の目線で)タブーといった空気感がありました。
しかし、我々の給与明細を見ればわかるように凄まじい金額の社会保険料がめっちゃ掠め取られています。
大和財託の藤原正明社長の取り組みですが、社員の支払う社会保険料のうち
「会社負担分の社会保険料も明記する」
ことにしたようです。
ツイートでは、56.4万円の支給に対し手取りが35.1万円という結果でした。
実に毎月
21.3万円が掠め取られている
計算です。
そして、掠め取られた21.3万円のうちほとんどが社会保険料であり、それを使用するのは高齢者です。
今回の記事は「老人医療の是非の科学」と題しまして、大量に掠め取られる社会保険料を減らしたら 高齢者の健康は損なわれるか考えていきたいと思います。
社会保険料のほとんどは高齢者に吸い取られる
なぜ我々はこんなにも多額の社会保険料を毎月支払っているのでしょうか。
結論から言うと、高齢者の医療に莫大な金額が必要だからです。
2022年度に支払われた医療費は46兆円でしたが、そのうち18兆円は75歳以上の後期高齢者に支払われたものでした。
厚生労働省は1日、病気やけがなどの受診で2022年度に医療機関に支払われた医療費の概算を公表した。総額は46兆円で21年度から1.8兆円増加し、2年連続で過去最高を更新した。75歳以上の医療費は18兆円で過去最高となった。高齢化による医療費増大の影響が出始めている。
医療費、後期高齢者が押し上げ 22年度4%増の46兆円
そりゃあ、年取ったら医療にお金かかる気がするけど…
問題なのは、後期高齢者はほとんど自分では医療費を払っていない代わりに、現役世代から掠め取ったお金を大量に使っている点だ。
18兆円に及ぶ金額を支払っているのは、後期高齢者自身ではありません。
後期高齢者が自分で支払っている医療費(窓口負担)はたったの1割以下で、残りの9割は他人に払ってもらっています。
後期高齢者の医療費のうち、窓口負担を除いて4割は現役世代(子や孫)の負担(支援金)
後期高齢者医療制度 よくある質問
残りの9割の内訳ですが、5割が公費、4割が現役世代から掠め取ったお金です。
エグすぎない?
この高齢者の窓口負担を増やしたらどうなるかが、今回の記事だ。
おれたちの(?)ガースーこと菅義偉は、高齢者の医療費負担を少しだけ増やした
菅義偉は、短い任期でしたが 内閣総理大臣在任中に
「75歳以上の医療費の窓口負担を年収200万円以上の人は現在の原則1割から2割に引き上げる」
法案を出しました。
75歳以上の医療費の窓口負担を年収200万円以上の人は現在の原則1割から2割に引き上げる
“75歳以上の医療費負担2割”改正案 衆院審議入り
75歳以上で200万円以上の収入がある高齢者は少ないですが、それでも若者の負担減 & 高齢者の負担増の議論を可能にした意味でGJでした。
しかし、これから団塊の世代が後期高齢者入りし 益々負担増が見込まれます。よって、後期高齢者の負担額をもっと増やしたらどうなるのかを考えてみましょう。
後期高齢者の負担を一律3割にしたら、どんな世界になるか?
これまで、凄まじい金額が我々の給与明細から掠め取られており、その金額の多くを後期高齢者の医療費の支援金として使用されていることを述べました。
更に、後期高齢者の窓口負担額を増やす政策も徐々に実現しつつあることを述べました。
マジで金掠め取りすぎだから、高齢者にももっと負担してほしいよな。
では、後期高齢者の負担を3割に増やした場合 どんな世界が見えてくるのでしょうか。
雑な計算で、後期高齢者の窓口負担総額が1.5兆円→4.5兆円弱
すでに支払っている後期高齢者の医療費の窓口負担額は1.5兆円であると述べました。後期高齢者の窓口負担額は 実際に医療にかかった額の1割なので これが4.5兆円にアップします。
これだけでいきなり3兆円が浮く計算だ。
おれにくれ〜
2023年の出生数は72.6万人だったので、新しく生まれた赤ちゃん全員に413万円給付できる計算です。
しかも、窓口負担を増やすと思わぬメリットがあるようです。
医療の窓口負担を増やしたら、医療の需要が下がる
1993年の論文を紹介します。この研究は、1971年~1986年に行われた「ランド医療保険実験」の結果を解析したもので、医療を受ける人の窓口負担を増やした場合どうなるかを調べたランダム比較実験です。
結論として、医療の窓口負担を増やすと医療の需要が低下すると言うものでした。
Averaged across all levels of coinsurance, participants (including both adults and children) with cost sharing made one to two fewer physician visits annually and had 20 percent fewer hospitalizations than those with free care.
The Health Insurance Experiment
この実験ではアメリカの6市に住む2750世帯を対象に行われ、医療費の自己負担割が受療行動にどのような影響を与えるのかを実証的に調べたはじめての研究です。
金額が上がれば、その分需要が下がるのは まぁ当然なんだけどな。
需給バランス!!!!
医療は生命の取り扱いをする産業なので、なかなかランダム比較実験ができない事情があるのですが それを行なったズバリ!な研究になります。
需要が下がることは、別のメリットもあります。
医療が格安なので、病院を同窓会がわりに使って湿布を大量に貰う(←1割負担)高齢者を減らせる可能性があります。
このような高齢者のモラルハザードにも一石投じるでしょう。
2018年にOECDから発表された報告です。サービス利用の代用指標である医師の受診率と出生時の平均余命の間には密接な関係があり、平均余命の長い国で受診率が最も高いとの結果でした。
その一方で、日本人のようにほとんど医療にかかっていないにも関わらず日本と同等の平均寿命の国がいくつもあるようです。
There is a close relationship between doctor consultation rates – a proxy for access to services – and life expectancy at birth, with consultation rates being highest in countries with highest life expectancy (Figure 5.6).
Consultations with doctors
レポートでは全体的な生活水準が受診率と平均余命の両方に影響を及ぼす可能性があるため、受診回数と平均寿命には必ずしも因果関係を意味しないと主張しています。
日本人の受診回数が突出しているが、その割には平均寿命にあんまり影響はなさそうだな。
少なくとも、因果関係はなさそうな気がするね。
では、高齢者の負担を増やしてしまい 医療にかかれず健康が悪化したら… これでは本末転倒なのですが 実際どうなのでしょうか?
窓口負担増やしたって、健康は大きく損なわれないかもしれない
窓口負担と、健康の関係を調べたそのままズバリな研究があります。
2013年の研究を紹介します。医療保険に加入している人とそうでない人を比較した結果、健康に与える影響はほとんどないのでは?と言う結論が出ました。
We found no significant effect of Medicaid coverage on the prevalence or diagnosis of hypertension or high cholesterol levels or on the use of medication for these conditions. Medicaid coverage significantly increased the probability of a diagnosis of diabetes and the use of diabetes medication, but we observed no significant effect on average glycated hemoglobin levels or on the percentage of participants with levels of 6.5% or higher. Medicaid coverage decreased the probability of a positive screening for depression (−9.15 percentage points; 95% confidence interval, −16.70 to −1.60; P=0.02), increased the use of many preventive services, and nearly eliminated catastrophic out-of-pocket medical expenditures.
The Oregon Experiment — Effects of Medicaid on Clinical Outcomes
研究では2008年にオレゴン州で行われた、メディケイドの適用を申請できるように無作為に選ばれた成人6387人と、選ばれなかった成人5842人からデータを得て解析されました。
結果として
①高血圧または高コレステロール値の有病率または診断、あるいはこれらの疾患の治療薬の使用に対するメディケイド適用の有意な効果は認められなかった
②メディケイドの適用は、糖尿病の診断および糖尿病治療薬の使用の確率を有意に増加させたが、平均糖化ヘモグロビン値または6.5%以上の値を示す参加者の割合には有意な影響を認めなかった
③メディケイドの適用により、うつ病のスクリーニングで陽性となる確率が減少し(-9.15%ポイント;95%信頼区間、-16.70~-1.60;P=0.02)
④多くの予防サービスの利用が増加し、破滅的な医療費の自己負担がほぼなくなった。
とのことでした。
この実験と違って、日本は保健適用があるんだから 「3割負担でもより一層健康に対する影響は少ないんじゃないか?」と予想できるな。
もちろん、この研究で全ての病気に対して健康が損なわれないか判明しているわけではないのですが、過剰医療を抑える目的で窓口負担を増やし しかも健康にほとんど影響がないならそれで無問題な気がします。
窓口負担3割でどうなるか?の結論
これまで紹介してきた研究結果を整理すると
①3割負担でいきなり3兆円財源が浮く
②医療の需要が下がり、もっと財源が浮く
③世界的に見ても病院行きすぎの老人の病院同窓会を減らせる
④平均寿命と受診回数に因果関係はなさそう
⑤少なくともいくつかの指標で、保険がなくても健康に影響はほとんどない
となります。
老人の窓口負担3割で、5.5兆円浮くと言う試算をみた。
介護保険料も社会保険料もほとんど払っていないのに、病院で大量に湿布をもらい 同窓会がてら病院に行って世界的に見ても受診回数の多い日本の高齢者。
どうやら3割負担にしても大きな影響はなさそうなので
「早く3割にしちゃえば?」
…と雑な提言をして、この記事を終わっても良いのですが、 もう少し雑な未来予言をさせてください。
高齢者は3割負担に応じるか?
そもそも高齢者は、窓口負担3割に応じるか問われたらかなり微妙でしょう。
彼らは口を揃えて
「高齢者に死ねと言うのか」
と言ってくるでしょう。もうほとんど前頭葉は動いていないので、提案内容も自分が発した言葉の意味も、もうほとんど理解できないでしょう。
高齢者は自分の弱者属性を傘に今後も「あれくれ、これくれ、配慮しろ」と行ってくることでしょう。
結果として、現代の日本の労働者が支払う社会保険料は30%になりました。これは年収が500万円なら150万円が社会保険料として使い潰されていることになります。
当の高齢者自身は、現代と比較して遥かに少ない金額しか社会保険料を納めていません。それなのに、自分が負担した分では足りないから現役世代から賦課方式で金を掠め取って厚生年金や医療の穴埋めに使っています。
そんなことを今後も続けていて、果たして「敬老」を維持できる人がどれくらい存在するでしょうか。
高齢者の止まらない我儘 → 超高齢者差別社会
自分が負担した金額では到底足りず、現役世代の金を掠め取り続ける高齢者。
今は「敬老」で多くの現役世代が無条件に態度を軟化させますが、このまま我儘を続けた未来に 日本人は敬老を維持できるでしょうか。
絶対できないと断言します。
高齢者は前頭葉が弱っているので、自分が支払った金額以上のものを受け取るために 現役世代から金を掠め取っていることを理解できません。
そればかりか、敬老で態度を軟化させる現役世代に対して調子に乗ってしまう始末です。
その答え合わせの一つが、高齢者によるカスタマーハラスメントです。
そんなことが続けば、やがて社会は高齢者を見放し差別的な態度をとることでしょう。
最終的には「相模原障害者施設(やまゆり園)殺人事件」の高齢者施設バージョンにたどり着くのではないでしょうか。
コメント