「自分の内向的な性格を治したい」
「ネガティブな思考を止められるようになりたい」
「もっと周りと協力して仕事をうまく回せるようになりたい」
「困った人に優しく声をかけらえるような人間になりたい」
多くの方が、自分の性格の嫌なところを目にして落ち込んだ経験があるのではないでしょうか。落ち込むところまで行かなくても、性格を治したいと思ったことはあるのではないでしょうか。
自分の怠惰な性格、直したいと思うけど治んないよな〜
治したい性格が明確になっていることはいいことだ。
性格を変えると当然、残りの人生が変わるぞ。
性格を治せれば、自分の新しい一面が見えてきますし 何より周りの人との関係構築にもいい影響をもたらすと思います。
でも、性格をすぐに変えられたら苦労はしないですよね。。、
性格って、変えようと思って変えるものじゃなくない?
実はそうでもないんだ。
性格はいくらでも変えらえれる。科学の力があればな
今回は、性格を変えるための科学 と題しまして、後天的に望ましい性格を獲得する方法 セカンドネイチャーの科学について、皆様に紹介していきたいと思います。
人間の性格の科学的分類 Big5(ビッグファイブ)
人間の性格は何種類あるかご存知でしょうか。
明るかったり、怒りっぽかったり、楽観的だったり 様々ですよね。
心理学の世界では、性格を分類し数値化して評価する方法で研究が進められますが、心理学の世界において
人間の性格はたったの5つ
で評価されます。
たったの5つ???
そうだ。
しかもこの性格分類は現在心理学の世界で最も信頼できる指標の一つと言われている。
この人間の性格を科学的に分類する手法をBig5(ビッグファイブ)と呼びます。
以下が、ビッグ5によって分類される人間の性格5種類です。
- 神経症的傾向(Neuroticism):
神経症的傾向は、個人の情緒の安定性や感情のコントロール能力を評価します。神経症的な人は不安や憂鬱などの負の感情をより強く経験しやすい傾向があります。 - 外向性(Extraversion):
外向性は、個人の社交性やエネルギーのレベルを評価します。外向的な人は社交的で活発であり、人との関わりを求める傾向があります。 - 開放性(Openness):
開放性は、個人の創造性や好奇心、柔軟性を評価します。開放的な人は新しいアイデアや経験に対してオープンであり、多様な視点を受け入れる傾向があります。 - 協調性(Agreeableness):
協調性は、個人の他人への配慮や信頼性を評価します。協調的な人は寛容で優しく、他人との調和を重視する傾向があります。 - 誠実性(Conscientiousness):誠実性は、個人の自制力や責任感、目標達成への意欲を評価します。誠実な人は責任感が強く、計画的で努力を重ねる傾向があります。
たったの5つならわかりやすいね。
そうだ。
そして性格を変えるとは「これらの5つの中から自分の課題を発見して修正していく作業」なんだ。
big5の詳細は以下を確認していただけると、より細かく理解できるかと思います。また、自分の性格上の弱点を発見するためのBig5テストを付けているので、ぜひこちらを使って自分の課題を見つけてみてください。
よってまずは、Big5テストを受けて自分の課題を発見し それをいかにして解決するかに焦点を当てることが良いかと思います。
課題を見つけることはできても、本当にこれで性格変わるの?
人間の性格なんて、そんなに簡単に変わるものじゃなくない?
そんなことはないぞ。
人間の脳の構造を知れば、性格が変わるのは当然だ。少し時間っかるかも知れないがな。
本当に性格を変えることなどできるのだろうか?
人間の性格を変えることは、本当に可能なのでしょうか。人間の本質など変わらず、生涯にわたって同じ性格 人間性を持つのでしょうか。
実は、人間の脳や身体の仕組みを知れば 性格すらも変えられることに納得してもらえるかと思います。
人間の身体の仕組みと、性格改善って関係するの?
当然だ。以下を読めば納得できると思う。
性格が変わると断言できるわけ① : 人間の脳は進化する
まず知っておきたいのは、人間の脳は進化することです。
年を重ねると衰える と主張する人もいますが、そんなことはありません。
人間の脳は可変性を持っています。この性質を神経可塑性と呼びます。神経可塑性は、脳が経験や学習に応じて変化し、新しいつながりを形成する能力を指します。
脳の神経可塑性には2つの主要な形態があります
- 構造的可塑性:
脳の神経回路やシナプスの構造が変化することを指します。新しいつながりが形成されたり、既存のつながりが増強・削減されたりします。学習や記憶のプロセスにおいて重要な役割を果たしています。 - 機能的可塑性:
脳の特定の領域が、他の領域によって代替されたり、新しい機能を獲得したりすることを指します。例えば、視覚が失われた場合には聴覚や触覚がより優れた能力を発揮することが知られています。
神経可塑性は生涯を通じて存在し、特に子供や若年期に顕著です。しかし、成人期や高齢期でも神経可塑性は起こります。新しい環境や経験、学習によって脳のつながりが変化し、新しいスキルや知識を獲得することができます。
脳はいつになっても進化する。だからこそ、性格まで変わるんだ。
性格が変わると断言できるわけ② : 人間の細胞は1年でほぼ入れ替わる(テセウスの船)
人間の身体は日々アップデートされていることをご存知でしょうか。
人体は、1日で1兆個もの細胞を入れ替えています。不要になった細胞は死んで、その近辺の元気な細胞を細胞分裂させて2個にし、その一つを失った細胞に入れ替えて成長させます。
人体の細胞の数は、約60兆個ですので 雑に計算すれば2ヶ月で身体の細胞はほとんどが新しいものに入れ替わることになります。
身体が徐々に新しいものに作り替えられていくイメージだな。
また、血液であっても100~120日間で4.5~5.0リットル全て入れ替わります。肝臓や腎臓の場合、早い細胞は1ヶ月で約96%、遅い細胞は約1年で全て入れ替わることがわかっています。
当然、神経細胞や心筋細胞のようにほとんど入れ替わらない細胞も存在しますが 1年もあれば身体はほぼ別のもので作り替えられていることでしょう。
このように、肉の形を保ちながらほぼ新しい肉体に置き換わっていくのですから 性格も1年前とは大きく変わっていると思いませんか?(ちょっと非科学的な発想ですが)
後天的に望ましい性格を身につける方法 セカンドネイチャーの実践
これまで、人間の脳は可変であることを紹介してきました。よって、望ましい性格を手に入れようとすれば、脳みそが変り続ける限り可能であるということです。
このように、後天的に手に入れた性格のことをセカンドネイチャー(第二の天性)と言います。人間の性格はいくらでも変わります。
脳みそが変わり続ける限り、新しい性格を自分に付け足していくことはいくらでも可能です。
性格を変えるための手法は、科学的に確立されている。ここからは、その手法を紹介していこう。
まずは、確実に性格を変える方法から考えていきたいと思います。
セカンドネイチャーを身につける方法① : 運動
ちょっとがっかりする人もいるかもしれませんが、運動をすると性格が良くなることが科学的に判明しています。
2016 年の研究を紹介します。運動習慣がある人は、年齢や性別問わずあらゆる性格特性が良好でした。
Lower Neuroticism and higher Conscientiousness were associated with more physical activity and less inactivity and sedentary behavior. Extraversion and Openness were also associated with more physical activity and less inactivity, but these traits were mostly unrelated to specific sedentary behaviors (e.g., TV watching). The results generally did not vary by age or sex.
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0092656616300368?via%3Dihub
研究では16件のサンプルから125,000件以上のデータを抽出し解析を行いました。
信頼度の高いメタアナリシスになります。
この研究デザインは、複数の論文を統合して解析するメタ分析という手法を使っている。
学術的な信頼度も高いから信用していいと思う。
セカンドネイチャーを身につける方法② : この記事を読む
すでに述べたように、脳には神経可塑性があります。換言すれば、性格が変わる根拠を理解するだけで、明日からの毎日が少しずつ変わってくるはずです。
この記事を読むだけで、あなたの性格は後天的に変えられます。
いやいや、それはなんかズルいでしょ。
大マジだ。
以下の論文を紹介するから、納得してもらえると思う。
2017年ハーバード大学の研究を紹介します。
この研究では、96人のうつ病的傾向がある学生を対象にオンラインレクチャーを受けてもらいました。
96人の患者を2つのグループに分け、一方には「脳は変化するから、性格を変えることも可能」というオンラインレクチャーを受講させました。もう一方には会話セラピーのオンラインレクチャーを受講してもらいました。
結果、「脳は可変だから、性格も変わる」というオンラインレクチャーを受講したグループは 望ましい行動をとる回数が増え、実際にBig5テストを定期的に受講すると 徐々に性格が望ましい方向に変化していることが判明しました。
脳が今からでも変えられるとわかるから、望ましい行動をすれば変われる という動機が受講生に芽生えたんだ。
なるほど。
だからこの記事を読めってことなのね
この記事では何度も「性格が好転する実践的な方法」を紹介しています。
これらを見て、実際に性格が変わるんだと理解するだけでも あなたにとって望ましい行動が増えて 結果として性格が改善していくことになるのです。
セカンドネイチャーを身につける方法③ : 腸脳相関
「腸は第一の脳なのでは?」
という指摘をご存知でしょうか。
急に何を言いだすwww
大真面目に言ってる。
私たちは脳で考え、行動している と思いがちですし、実際そうです。
よって性格改善のアプローチに脳からアプローチするのは極めて自然な流れでしょう。
ですが、こんな経験はないでしょうか
「不安になってきたら、お腹が痛くなってきた」
「お腹の調子が悪くてイライラする…」
このように、腸の調子と脳には何かしらの関係がありそうな経験をしたことがある人がほとんどだと思います。
このように、腸の状態で思考が変わったり、逆に思考の状態で腸の状態が変わるような関係を腸脳相関と言います。
実際に発生学の研究でも、脳と腸には特別な関係があるのでは?と指摘されています。というのも、受精卵が徐々に人の形になっていくとき まず最初に腸から形成され、のちに脳が形成されるためです。
腸を持つが脳を持たない生物はいくらでも存在します(クラゲなど)。一方で、腸はないのに脳はある生物は聞いたことがありません。
その意味で、腸があるからこそ脳があり、腸と脳には深い関係があるのです。
そして、腸内細菌と性格が実際に関連していることを示した研究を紹介します。
2020年の研究を紹介します。腸内フローラに存在する細菌の種類は、被験者の性格と関連している可能性があります。
Alpha and beta diversity findings were inconsistent; however, differences in bacterial taxa indicated disorders may be characterised by a higher abundance of proinflammatory species (e.g., Enterobacteriaceae and Desulfovibrio), and lower short-chain fatty acid producing-bacteria (e.g., Faecalibacterium).
The gut microbiota in anxiety and depression – A systematic review
この研究は、過去の26件の研究結果を用いて行われたシステマティックレビューになります。
- 全般性不安障害における腸内細菌叢の症例対照比較 2件
- うつ病 18件
- 不安/うつ病の両方を含む 1件
- 症状のみの測定を含む 5件
この研究結果が意味しているのは、正しい食事で腸内フローラを整えることは、直接的に性格を改善する可能性があることを示唆している点です。
もし行動力が落ちていたり、不安な気持ちが拭えないなら ちゃんとした食事を徹底することは解決策になりうるということだ。
この研究結果が意味しているのは、正しい食事を行なって腸内フローラを整えれば あなたの性格が好転する可能性があることを示唆しています。
実際、個人的な意見ですが 性格がキモい人は食事もキモい気がしています。
セカンドネイチャーを身につける方法④ : 性格改善の4ステップを理解する
これまで、具体的な性格を変える方法を紹介してきました。
運動したり、この記事を読んでみたり どれも実践的なものを紹介しています。
一方で、どんな過程を経て性格が好転するのか?を知っておくことは、あなたの性格改造を行う上で大きな道標になるでしょう。
科学的には、性格が変化するまでの過程もおおよそ判明しているようです。そのステップは科学的に理論化されており、あなたの性格改善の強力な道標になるかもしれません。
2024年の研究を紹介します。性格改善に効果があるものとして理論化されているものは4つ存在し、それぞれ前提条件、誘因、強化因子、統合因子 に分けられます。
In this Review, we examine the mechanisms responsible for intentional and naturally occurring changes in personality. We discuss four mechanisms — preconditions, triggers, reinforcers and integrators — that are theorized to produce effective change, as well as the forces that promote stability, thereby thwarting enduring changes.
The process and mechanisms of personality change
この研究は、理論化された「性格改善に効果がある4つ」を紹介するレビュー論文です。
ちょっと待って
全く意味がわからないんだけどw
ここでは簡単に4つのステップを紹介する。
より興味がある人には、リンクも紹介する。
紹介した論文に記載されている方法ですが、パッと見て意味を理解できる人は少ないでしょう。
ここからはもう少し掘り下げて、この論文で主張されている4つのステップについて解説します。
性格改善のステップ① : 前提条件
そもそも、性格を変えたいという強い動機がないと始まらないでしょう。
研究者らは
「性格を変える上で、自分の何を変えたいのか言語化・明確化することが重要」
と述べています。
性格改善のステップ② : トリガー(誘因)
あなたの改善したい性格特性は、環境に依存しているのかもしれません。例えば、都会でストレスがかかる ブラック企業勤務で常に何かに追われている 等です。
よって、あなたの性格を変えたいのなら思い切って環境を変えるのも良いでしょう。
研究者は
「環境の変化が、性格改善のきっかけになる」
と指摘しています。
性格改善のステップ③ : 強化因子
環境を変え、性格の変化に一歩を踏み出したとします。
その場合、継続すれば 徐々にあなたの行動が変わっていくことでしょう。
継続が実は一番難しいのですが、科学的には「良い習慣を量産するにはxxxをやれば良い」と判明しています。
ぜひ、自分の性格を変えるために 小さな習慣から継続していきましょう。
性格改善のステップ④ : 統合
ここまでの道のりで獲得された性格の変化を日常のあらゆるシチュエーションで応用できるようにすれば、他者があなたを見て
「変わったな」
と気づくはずです。
性格が本当に変わるということは、その特性が一部のシチュエーションだけでなく、生活の全体で発揮されることを意味します。
そのため、自らの変化した気質を可能なかぎり多くの場所で実践することが大事になると研究者は説明します。
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