インターネットに流布する言説に
「※ただしイケメンに限る」
というものがあります。
実際に我々の身近なところで活躍しているイケメンは多く、女性関係にも困らず素晴らしい人生を謳歌しているに違いありません。
悔しいが僕はイケメンじゃないので、これに関しては完全に白旗だ。
く… 悔しいっッ！！
とは言っても、実際にこれはどの程度正しいのでしょうか？
人によっては
「誠実で正直な人が、長い目で見た時に成功する」
と言うでしょう。
「※ただしイケメンに限る」
は、非モテの完全な被害妄想なのでしょうか？
一方で我々の経験が言うように 実際にイケメンは有利だし優遇されていると反論したくなる人もいるでしょう。
よって今回は、実際にイケメンとそうでない2者を仮定し どのような差が生じるのか考えます。
ここで注意ですが、イケメンでないから終了 と主張したいわけではありません。外見を大きく改善する方法は幾らでも(科学的に)判明していますし、何ならイケメンが優遇される理由も判明しています。
換言すれば、イケメンが優遇される要素を別の部分で身につければ 人生が変わるかもしれないと言うことです。
イケメンが実際に有利である これだけの研究の数々
自分がイケメンではない場合、イケメンと比較した時どのような差異が発生するのでしょうか。
「人は外見ではない。中身だ。」
と主張する人もいますが、これはどの程度正しいのでしょうか。
確かに、イケメンじゃないからこそ それ以外の方が重要だと信じたい気持ちは山々だな。
頼む。外見より中身であってくれ〜〜〜〜
ここからは、かなり残酷かもしれませんが 実際にイケメンとそうでない人にはどのような差が生じるのか解説していきます。
残酷な事実① : イケメンは他者から「性格も良い」と評価される
あなたの外見的魅力が高い場合、それだけで性格までも良いと見なされやすくなります。例え人格など見ずとも、ついつい人格者であると誤認してしまうのです。
2019年の研究を紹介します。美容整形を受けた男性の前後を写真に納め、その人物の人格を隠した状態で男女に見せます。その結果、術後の方が人格までも優れていると評価されやすかったことが判明しました。
The results of this study suggest that men undergoing facial cosmetic surgery may experience changes in perceived attractiveness, masculinity, and a variety of personality traits.
Evaluation of Personality Perception in Men Before and After Facial Cosmetic Surgery
これは、外見から受け取った情報が好意的であったため それによって人格の評価も歪められてしまったことを示しています。
決して美容整形を勧めている訳ではないが、これは衝撃の事実だ。
このように、ある特徴によって その他の特徴も好意的(或いは否定的)に解釈されてしまう現象をハロー効果と言います。この実験は、ハロー効果を部分的に支持する結果を得たと言っても良いでしょう。
更に追い討ちをかけるようですが、どうやら外見的魅力と知性・ユーモアの評価もハロー効果で歪められるようです。
を評価してもらいました。結果、録音データの場合は差異が現れなかったのですが、ビデオクリップの場合 外見的魅力が高い人が話すときは同じ内容でも録音データよりビデオクリップの方が知性・ユーモアともに高評価だったのに対して、外見的魅力が低い人が話すときは同じ内容でも録音データよりビデオクリップの方が知性・ユーモアともに低評価でした。
We additionally tested for the presence of an attractiveness halo effect on humour ratings by comparing ratings of funniness from video clips, audio-only presentations, and photographs.
The effects of relationship context and modality on ratings of funniness
イケメンが有利なのはわかった。
でも僕らが必要以上に不利になる訳ではないんじゃないの？
泣き喚け チー牛ども。
イケメンは正義だ。次のトピックを見てくれ。
残酷な事実② : 不細工非モテは ハラスメント
イケメンでなくても女性と素敵な関係を築きたい方は多いと思います。ましてや踏み込んだ関係でなくとも普通に交流し仲良くするだけでも良いです。
我々は社会的な動物なので、周りの人間と健全で良い関係を築きたいと思うのが当然です。
待て待て。
ただの人間関係でもイケメンが有利なの？
しかも面白いくらい残酷だぞ
ところが、それさえも外見的魅力で難易度が変わってきてしまうかもしれません。
2017年の研究を紹介します。91人の女性にイケメンと不細工の写真を提示し、その男性と「会話」「ハグ」「キス」「大人のプロレス」をおこなっている状況を想像してもらいました。
結果、ただの会話でさえ 女性は嫌悪感を示し、その度合いは外見的魅力が高い人は低いことが判明しました。
We found that disease cues and attractiveness, but not sexual arousal, influenced disgust. The results suggest that women feel disgust at sexual contact with unattractive or diseased men independently of their sexual arousal.
Disgust Trumps Lust: Women’s Disgust and Attraction Towards Men Is Unaffected by Sexual Arousal
換言すれば、女性は男性に対して割合は低いものの 単なる会話だけでも男性に嫌悪感を示すが そこにも「※ただしイケメンに限る」が存在する と言うことです。
上の図を見ると、興味深いことに「会話」「ハグ」のような単なる友情関係でも普通に行われる行為は(イケメンの方が嫌悪感が少ないとはいえ)嫌悪感に大きな差はありませんでした。
しかし「キス」「大人のプロレス」のような一段階上の接触を試みると、非モテ男子に対する嫌悪感は一気に上昇します。
やっぱり、イケメンは正義であって非モテには苦しい現実があるんだ。
やめてくれ。。、
上記の研究は、単に女性に魅力を評価してもらったものですので 研究者の手前
「ブサ男専と思われたくないから、キモいって回答しておこう」
と思った女性もいたかもしれません。
しかしながら、それも誤りです。
実際に女性は男性の外見的魅力で相手に対する感じ方や考え方を変えます(男性も同じだと思いますが)。
2008年の研究を紹介します。女子大生を対象にある行動がハラスメントになるかどうか判断してもらいました。その結果、外見的魅力と社会的地位は ハラスメントと感じるかどうかの予測因子として機能することが判明しました。
Results indicated that attractiveness, high social status, and attitudinal beliefs about sexual harassment were all predictive of tolerance for sexual harassment, providing preliminary support for the validity of this paradigm.
Tolerance of sexual harassment: a laboratory paradigm
換言すれば、あなたが女性に対しておこなったアプローチが成功するかは あなたの魅力次第ということです。
以上の結果は、非モテ男性にとっては聞くに耐えない苦しいもの(或いは、そんなの初めから知ってるわ ってなるかも)ですが、なぜこのような研究を真面目におこなっているのでしょうか。
それは
「努力で世界は変わる」
と言う信仰が根強く、非モテが不遇なのは 怠惰の結果だと主張する人がいるからです。
これは特定の性質を持った人間に対して生きづらさを感じさせる要因にもなります。
残酷な事実③ : イケメンは自分の有利な状況を「努力の結果だ」と信じている
努力をして這い上がることは自分の人生を変える上で極めて重要であり、これが可能であれば 少しでも上に這い上がりたいと考える人がほとんどなはずです。
一方で、努力するかどうかは本人次第であり 努力の有無に対して他者があれこれ注文をつけるのはお門違いです。ましてや、元々不利な状況に置かれている人に対して 有利な立場の人間が
「努力不足！」
などと説教垂れるのはもってのほかです。
有利な立場の人間が努力不足を指摘するのはズレていると思うがな。
どうやら、有利な環境に置かれている人間は その状況に気づかず、逆に不利な立場にいる人間はその状況に気付きやすいようです。
2013年の研究を紹介します。一方に有利で一方に不利になるように設計されたゲームをプレイしてもらったところ、敗者はゲームの不平等性に気付いたのですが、勝者は気づかず 自分のスキルが優れているから勝利した と解釈しやすいことがわかりました。
これをイケメンと不細工に置き換えると
「自分がモテたり性格が良いと思われるのは、自分の努力やスキルの結果だ」
となります。
これは有名な認知のズレの結果で
「世界公平仮説」
と呼ばれるやつだな。
何だそれ
「良い行いをすればそれが返ってくるし、悪い行いをすればそれが返ってくる。」
正しく因果応報的な世界観で このような世界を「公正世界」と言います。
ですが、実際にそんなことはないと 私たちは知っているはずです。
あなたが突然病気に罹ったとしても、悪い行いや生活習慣をしていたことが原因とは限りません。あなたが宝くじに当たったら、それは良い行いをした結果である なんてあり得ません。
人間誰しも、自分達の生きている世界が公正世界ではないと知っていても ついついそう思い込んでしまいます。このような偏見を「公正世界解釈」と言います。
この認識のズレが犯罪やいじめを助長してしまう側面は否定できない。
公正世界解釈が間違えているとわかっていても、人はついつい「世界は公正だ！」って思い込んじゃうんだね。
どうやらイケメンは、公正世界を信じやすい傾向にあるようです。
2018年の研究を紹介します。被験者の外見を自己評価&他己評価してもらい その後公正世界を信じるかどうかのテストをしました。結果、外見的魅力は公正世界解釈を信じる予測因子であることが判明しました。
These findings suggest that physical attractiveness powerfully affects our subjective experience as a human and that just-world beliefs are driven, at least in part, by personal experience with inequality.
The Influence of Physical Attractiveness on Belief in a Just World
換言すれば イケメンは
「自分が恵まれているのは努力の結果だし、非モテが不遇なのは怠惰の結果だ」
と言う解釈をしやすい と言うことになります。
決してそんなことはないのに、我々は怠惰と見做され 苦しい思い、生きづらさを感じるのです。
いやだ そんな世界。。、
どうすれば良いんだ
「最悪の事態には必ず相応のチャンスが眠っているものだ」
とサンジも言ってただろう。大丈夫だ。
とはいえ、男と同じくらい女性も存在する(正確には若干男性の方が多いです)ので、こんな不公平な世界であってもいつか自分を認めてくれる素敵な異性が現れるかもしれません。
そのように期待したいかもしれませんが、やはり現実はイケメンに優しく不細工に厳しいのです。
残酷な事実④ : 不細工はたとえ他の要素が優れていても 恋人候補として評価されない
女性はたくさんいますから、たとえ不細工であっても何かしらの縁があるかもしれない！ と淡い期待をしてしまう非モテ諸兄には限りなく悲報です。
たとえ外見以外の要素が優れていたとしても、あなたは恋人候補の評価の土俵にすら立てないかもしれません。
2017年の研究を紹介します。女性とその母親に身体的魅力が異なる3人の白人男性の3枚のカラー写真と、プロフィールを見せ評価してもらいます。
結果、女性とその母親の評価は案の定ターゲット男性の身体的魅力に強く影響されている事が示唆されました。
Women and their mothers were strongly influenced by the physical attractiveness of the target men and preferred the attractive and moderately attractive targets. Men with the most desirable personality profiles were rated more favorably than their counterparts only when they were at least moderately attractive. Unattractive men were never rated as more desirable partners for daughters, even when they possessed the most desirable trait profiles.
The Importance of Physical Attractiveness to the Mate Choices of Women and Their Mothers
更に最も望ましいプロファイルを持つ男性はある程度身体的に魅力的であった場合のみ好意的に評価され、身体的に魅力的でない男性は最も望ましいプロファイルを持っていても望ましいパートナーと評価される事ありませんでした。
誤解を恐れず言い切ると「男性の性格は性愛においては容姿の一定ラインを超えない限り評価されず、また容姿が優れない男性は実際の性格によらず好ましくないと評価される」ということになります。
うわああああああああああああ
安心しろ。
あとは階級闘争の戦略を練って実践するだけなんだから。
これまで、残酷な実験結果を基に読者諸君を正しく絶望させてきました。
ですが、勝負というものは
「現状を知って正しく認識した上で次の行動にどう繋げるか」
が極めて重要です。
よって現状認識を正確に行えたあなたはすでに次なるステップで大きな飛躍をする素質を持っています。
ここからは、そんな現状を打破するために何ができるのかを考察して筆を置こうと思います。
「※ただしイケメンに限る」は正しい でも絶望するのはまだ早い
「人は外見じゃない 中身だよ！！」
「私は優しい人が好きだな」
といったヌルいセリフは嘘だとわかりました。現実に「※ただしイケメンに限る」は存在するのです。
畜生。もう闇堕ちするしかないのか おれは
そんなことはない。
現実を直視して、そこから勝負は始まるはずだ。
人生は遊戯王カードと同じです。
最初に配られた手札で勝負しなければならないのは事実ですが、それでもピンチをチャンスに変えるキーカードがデッキに眠っているはずです。
最初に配られたカードで腐るのか、チャンスを窺って戦略を練り仕掛けるのかは あなた次第です。
それが必ずしも結果に結びつかないとしても
「昨日の自分よりは少しだけ成長した」
を毎日繰り返せば、数年後に大きな成長と結果をもたらすはずです。
あなたが、遺伝的限界まで自分の魅力を高められていないなら
絶望するのはまだ早い
です。
ここからは「※但しイケメンに限る」に絶望しかけているあなたを救うためのヒントを落として この記事を終わろうと思います。
絶望をチャンスに変える戦略① : 「イケメン」とは何かを知る
イケメンは単なる顔の造形を指すのでしょうか。普通に考えて、20代の顔立ちを永久に維持できるわけがないですし、何ならイケメンでなくても勝利を手にしている人は無数に存在します。
顔の造形だけで絶望しているのは、まだ早すぎます。
我々は先進国に住んでいますが、どうやら先進国で異性の獲得をしたければ 顔の造形以外のある要素が極めて重要になってくるようです。
2019年の研究を紹介します。国の健康指数が高く人間開発指数が高い国に住んでいる女性ほど、男らしい顔つきの男性を志向することがわかりました。
Our results show that women’s preferences for masculine faces are stronger under conditions where offspring survival is higher and economic conditions are more favorable.
https://www.nature.com/articles/s41598-019-39350-8
研究では、34か国の異性愛女性4483人のサンプルを使用して、社会的、生態学的、経済的変数が女性の顔の男らしさの好みをどのように予測するかをテストするかを調べました。
今回の研究は、子孫の生存率が高く、経済状況がより好ましい条件の下で女性はより男らしい顔つきを志向することを示しています。
換言すれば、顔の造形だけでない部分で男らしさを発揮できれば それがそのままあなたの外見的魅力になります。
この「男らしさ」はひどく曖昧だが、それについても補足しておこうと思う。
上記の研究では、男らしい顔を選んでいますが 男らしい顔立ちである男性であればあるほど、男性ホルモンの一種であるテストステロンの値が高いことが判明しています。
2004年の研究を紹介します。テストステロン値が高い男性の顔立ちは男らしいと判定されることが判明しました。
Composites from high-testosterone men were judged to be more masculine than those from low-testosterone men.
High salivary testosterone is linked to masculine male facial appearance in humans
実験では、テストステロン値が高い男性とそうでない男性の顔を合成し、その写真を女性の被験者に評価してもらうことで判定しました。
以上からテストステロンの値が高くなる習慣をとれば取るほど顔の脂肪が取れ、あなたの外見的魅力は極限まで高まってくるはずです。
更に、女性がイケメンに惹かれる理由を知ることも重要です。
顔が整っているとは、顔の左右対称性を指しますが これは本能的に「細胞分裂のエラーの数(ひいては遺伝子の質)」と「健康度合い」を見ていることになります。
換言すれば、この遺伝子の質の高さと健康度合いを別の方法でシグナリングすれば女性に刺さることになります。
科学的に、遺伝子の質の良さと健康度合いは「清潔感」でシグナリングできますが、具体的に何を見て清潔感と判断するかも科学的に判明しているのです。
「イケメンは作れる」
を頭に入れてくれ。男らしさと清潔感の演出だけで達成されるんだからな。
頑張ります。。。！！
絶望をチャンスに変える戦略② : 変化の過程で何が起こるか知る
単に
「男らしくあれ！」
と言われても、極めて抽象的で努力する気すら起こりにくいかもしれません。闇雲に努力を重ねるだけなら、その過程は苦しく絶望に満ちたものになるかもしれません。
しかし朗報です。
あなたがわずかであっても変化すれば、それだけで世界のあなたに対する反応が大きく変わるかもしれません。
2017年の研究を紹介します。
外見的魅力(顔、身体)が五段階評価で1上がると、一目惚れされる可能性が9倍に跳ね上がります。
換言すれば わずかな変化であっても、それがあなたの身の回りの反応を大きく変えることに貢献します。
これはモチベーションを維持する上で極めて重要な結果だ。
ちょっとの変化で世界が変わるなら、試してみる価値があるかもな。
この記事を読んだ人が、少しでも未来を変えるために行動してくれることを願って この記事を終わりたいと思います。
コメント
ブサメンの多くが受け入れたいと思っていると思います
ところが、恋愛（女性にモテること）を完全に諦めるのはこれも多くのブサメンにとって無理です
だったらがんばれよとなりますが、全く相手にされず諦めようと試みます
これを繰り返しているうちにおっさんになって物理的に不可能になります
とても厳しいのは、ブサメンだと同年代のイケメンがマスターしていることをそういう機会がないのでわからないことです そうなると余計に二の足を踏むことになります つまり、イケメンとかブサメンとかは単なる現時点の話ではなくて、長年の蓄積なのです
それでもがんばれるブサメンはがんばればいいと思います
Murasakiです。
コメントありがとうございます。
確かにイケメンはさっさと一通りの経験を済ませてしまう一方、ブサメンは
「友人やネットの情報(清潔感、自信、経済力等)を自分なりに実践し、ラスボス(好きなひと)にアタックし、案の定散る」
ため、一通りの経験をできないまま歳をとってしまうことが多いように感じます(そして最初に戻る)。
このループを抜け出すには
「私は非モテではありませんが？」
というフリをして手当たり次第気になった人を口説くしか方法がありません。
私のブログで論文交えて紹介しているのでぜひ読んでみてください！