満員電車の中で薫ってくる不快な汗のニオイ… オフィスにいるオッサンのキツい体臭…
皆さんはこれまで他人の体臭で不快な思いを感じたことはないでしょうか。屋外だったらまだしも、密室でキッツイ体臭を嗅がされると逃げられないですしキツいですよね。
満員電車で汗臭い人いるとキツいよな。。、
おいおい。まるで自分は被害者みたいな言種だな
逆に実は自分が不快な体臭を放っていたとしたらどうでしょうか。自分の身体から放たれる体臭は嗅ぎ慣れてしまっているので、つい疎かにしてしまいがちです。
夏場だったら自分のTシャツから出てくる臭いに気づくならまだいいですが、もし気づかず周りに不快な臭いを撒き散らしていたとしたら….
不快な体臭はまさしくテロです。それを嗅いでいる人は決してその臭いから逃げられず、ましてや指摘することも難しい。。、
今回は不快な体臭を抹消する方法に焦点を当て、科学的な手法を紹介していきたいと思います。
体臭を不快に感じる原因
人はなぜ体臭を不快だと感じるのでしょうか。そもそもなぜ不快な臭いとそうでない匂いがあるのでしょうか。
そこには実は進化心理学上の深い理由が隠されているのです。
えぇ! 匂いって進化となんか関係しているの???
大アリだ。
人類が匂いに敏感なのは当然理由がある。
ここからはどちらかと言うと教養的な解説になるので、すぐに体臭を抹消したい方は「なぜ体臭が放たれるのか」までジャンプしていただけるといいかなと思います。
ニオイは危険のシグナル
サバンナを駆け巡っていた原子人類は、圧倒的な自然の中のごくちっぽけな存在でした。常に捕食者の危険に晒されており、いつ自分の生命が断たれるかもわからない危険な環境に身を置いていたのです。
よって人類は事前に安心か安全かを察知し行動する必要がありました。
「この近くに獣はいないか」
「これは食べてもいいのか」
「ここで野営してもいいのか」
この状況で危険を察知する方法の一つがニオイだったのです。
なるほどね。
ニオイを察知する能力は生き残る上で重要なのか
動物園で獣の檻に近づくと、なんとも形容し難い不快なニオイがするだろう。
恐怖の対象に対してネガティブな印象を抱くことで危険を避けてきたんだ。
我々はニオイで危険を察知し生き残ってきた祖先の末裔です。
よって不快なニオイは危険のシグナルそのものであり、我々はそれを避けて身の安全を確保するようにプログラムされているはずです。
人間は不快な香りに敏感になり、そちらに注意を払うことで身の安全を守ってきたのです。
この「不快な香りに敏感になり、そちらに注意を払うことで身の安全を守ってきた」という特性の面白い応用を一つ紹介します。
香水には微量のスカトールという物質が含まれています。このスカトールは、便のあの不快な香りを発生させる物質です。
えぇっ!!?
香水にウ●コのニオイ混ぜてんの????
もちろん不快さを感じない程度にごく微量入っているだけだ。
ところがこれが大きな影響を他者に及ぼすことが分かっている
便は当然、人間にとって危険な物体です。万一食べてしまっては終了してしまいます。よって人間には便を不快だと感じる機能が生まれつき実装されている必要があります。
そのため我々には「香りで便を不快なものと判定する機能」が予め実装されています。スカトールの香りを鼻が判定したら、そちらに注意を向けるようになっているのです。
以上から、不快に感じない程度のスカトールは他者の関心を惹きつける効果があります。
体臭は健康のシグナル
人間も動物です。よって我々が生きる大きな目的の一つに
「異性と交配して子孫を残す」
というものがあります。
特に女性は一度身籠ってしまうと1年近く動くことができません。更にその後子育てをしなければなりません。よって女性はより健康で誠実に子育てに協力しご飯を家に運んでくれる男性を選ぶ必要があります。
男性も妊娠可能性の高い異性を選択するために、若い(=健康な)異性を選ぶ傾向があります。
その健康のシグナルの一つが体臭です。
急に生々しいな。。。、
ただ、健康であるということは子孫繁栄の観点から極めて重要だ。
我々はより健康的な異性を選択し、その子供も同じように健康的な異性を獲得していくことを繰り返してきたはずです。
以上から我々は「健康的な異性を獲得するために、体臭で健康度を測定する機能が実装されている」はずです。
その証拠に、スポーツマンの爽やかな汗は寧ろ心地よいですが 老けたオッサンの体臭は不快に感じる機能が生まれつき実装されています。
むしろ魅力まで放ってしまう体臭の作り方は後に解説する。
なぜ体臭は放たれるのか
これまで進化心理学をベースに、不快な体臭とは
「危険のシグナル」
「不健康のシグナル」
だと説明しました。
危険で不健康だという印象を他者に与えてしまう体臭を、一体どのように消していけばよいでしょうか。
不快な体臭を消すために、重要なのはその発生原因について理解し、その原因を潰すことです。
当然原因になるものがあるのだから、そこをチェックすることは極めて重要だ。
体臭を放つ原因は大きく分けて2つあります。
- 身体の内側から出る物質
- 皮膚の表面にいる微生物が発生させる
よってこれら二つにアプローチし、対策していく必要があります。
皮膚の表面
まず皮膚の表面ですが、あの不快な体臭の原因はバクテリアです。
バクテリアが皮脂を分解し、VSCs(揮発性硫黄化合物)という物質を出します。
更にこの皮脂ですが、加齢に伴い多価不飽和脂肪酸が増えこれが酸化することでノネナールという物質に変化します。こちらは加齢臭の原因になる物質で 男性女性関係なく発生してしまいます。
このノネナールという物質、なんとあの資生堂が発見したんだ。
The results indicate that 2-nonenal is generated by the oxidative degradation of ω7 unsaturated fatty acids, and suggest that 2-nonenal may be involved in the age-related change of body odor.
身体の内側
皮膚表面で体臭の原因になってしまう汗も皮脂も、全て身体の内側から出てくるものです。よって、身体の内側に問題があって不快な体臭を発生させてしまう可能性もあります。
健康的な方法(運動 サウナ)で噴出した汗は、基本無臭です。なぜなら、体温を下げることが目的なので 単に体内の水分を外に出しているだけだからです。
このような無臭の汗はエクリン腺と呼ばれる穴から出てきます。こちらは基本的に無害と考えてよいでしょう。
ん?
汗って2種類以上あるってこと???
その通りだ。
不快なニオイの元になる汗は全く異なる穴から噴出するんだ。
一方で、不快なニオイを出す汗はアポクリン腺と呼ばれる穴から噴出します。これは先ほどの体温調節を目的としたほぼ水のみで構成される汗とは異なり、ホルモンバランスの乱れから生じる不健康な汗です。
アポクリン腺から噴き出る汗には、水だけでなく脂肪やアミノ酸を含んでいます。これらはバクテリアにとって最高の餌になるので、アポクリン腺から噴き出る汗を抑えることは極めて重要と言えます。
こればかりはどうしようもないかもしれませんが、一部の病気と薬が体臭の原因になってしまっている可能性があります。
糖尿病 甲状腺異常 肝臓病 腎臓病 統合失調症の患者は体臭が臭くなるようです。
これもある意味残酷だが、体臭が健康度のシグナルとして機能している典型例の一つだ。
更に ブプロピオン リュープロペインという薬剤が体臭に影響してしまうことも分かっています。
不快な体臭を抹消する 科学的に正しい戦略
これまで、不快な体臭の原因は「皮膚表面のバクテリア」「体内の問題」の二つに切り分けられると話しました。
ここからは、これら二つの原因に対してアプローチして体臭を消していく方法を模索していきたいと思います。
肌の表面の対策
肌の表面の対策とは、言い換えれば「肌表面のバクテリアを抑える」ということになります。よってここからは、科学的に判明している バクテリアを抑えて体臭を抹消する方法を考えていきます。
物理的にバクテリアを抹消する
すぐにできるのはムダ毛の処理 脱毛です。
ムダ毛の分表面積が増えるため ムダ毛がない場合と比較して相対的にバクテリアの数が多くなってしまうはずです。
よって、ムダ毛の処理 脱毛は体臭対策において極めて重要なパートになります。
少しお金がかかるが、ムダ毛処理は簡単に終わるし効果的だ。
コンプレックスは科学の力で対処してしまえばもうな病まなくて済むようになる。
化学的にバクテリアの活動を抑える
エッセンシャルオイルは、バクテリアの活動と活性酸素を抑える働きがあることが分かっています。
精油(エッセンシャルオイル)は、植物の花、葉、果皮、果実、心材、根、種子、樹皮、樹脂などから抽出した天然の素材で、有効成分を高濃度に含有した揮発性の芳香物質のことです。各植物によって特有の香りと機能を持ち、アロマテラピーの基本となります。
Many EOs exhibit antimicrobial properties, which is extremely important in fields of science and industry, such as medicine, agriculture, or cosmetology.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6612361/
市販の銀イオンスプレーやミョウバンも効果的です。
更にバクテリアは弱アルカリ性の環境で最も活発になることが科学的に判明しています。
よって、酸性の角質除去剤で気になる箇所を洗うことも効果的と言えます。
In a simple and elegant experiment, Harold and van Brunt established that rapid growth of Streptococcus faecalis was dependent upon maintenance of an alkaline intracellular pH value(4).
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC373043/pdf/microrev00059-0007.pdf
こちら1985年の古い研究だが、2023/9/16時点で1507件の論文に引用されている信頼に値する成果だ。
これらの肌の表面に対して行える対策を行うことで、確実に体臭を抑えることができるようになるはずです。
身体の内側の対策
体臭の原因になる汗や皮脂は身体の内側から出てきます。よって身体の内側を変えて減点要素を排していくことも極めて重要と言えるでしょう。
ここからは、身体の内側に焦点を絞って対策を考えていきます。
食事
食事の見直しは不快な体臭を抑えるために効果的かもしれません。基本的にはクリーンで加工の少ない健康そうな食事を意識するだけなのですが、ここにもコツがあります。
2017年マッコーリー大学の研究を紹介します。さまざまな食習慣をもつ男性に 48時間同じTシャツを着て貰います。そしてそのTシャツを小さく刻み女性に嗅いでもらって魅力度を判定して貰います。
どこかで聞いたことのある設定だぞ。。、
あぁ。同じ大学の似たような研究を何度か紹介しているからな。
以上の実験の結果は以下の通りでした。
(1)女性の好み・魅力・男性の健康度は相関
(2)フルーツ・野菜 / 良質な油(卵・豆腐) は体臭を魅力的にする
(3)精製された炭水化物が体臭の魅力を低下させる
(4)赤身肉は体臭の魅力度を変えないが、体臭を強くする
The skin spectrophotometry measure (CIELab b*), indicative of greater fruit and vegetable intake, was significantly associated with more pleasant smelling sweat (with more floral, fruity, sweet and medicinal qualities), independent of sweat intensity. Self-report dietary data revealed that fat, meat, egg and tofu intake was associated with more pleasant smelling sweat, and greater carbohydrate intake with stronger smelling less pleasant sweat.
Diet quality and the attractiveness of male body odor
赤身の肉はあなたの体臭を強くします。結果として、爽やかな体臭であればそれが大きく放たれることになりますし、山手線の草臥れたオッサンのようなニオイであったらそれも大きく放たれることになります。
更に研究者は
「これらのデータは、よりカロテノイドの豊富な黄色い肌がより魅力的であるという顔の判断と平行している。」
と指摘しています。
更にアルコールも体臭を悪くしてしまうようです。アルコールが分解されるとアセトアルデヒド(有毒)に分解され、それが更に酢酸に分解されます。
この酢酸が汗として体外に排出されますと、凄まじい体臭として周りに影響を及ぼしてしまいます。
この酢酸由来の不快な体臭だが、どうやら食物繊維の摂取で抑えられることが研究で示されている。
濃い葉物野菜も体臭の防止に効果的です。
濃い緑色はクロロフィルという物質なのですが、この物質がニオイを抑制してくれるようです。更に野菜の抗酸化作用が身体にとっても良い影響をもたらしてくれるでしょう。
体臭云々以前に、野菜は積極的に摂取してもらいたい食品だ。
野菜の本当の威力を皆知らなすぎる。2週間食べるだけで人生変わるぞ。
人生変わるって、大きく出たな〜笑
濃い葉物野菜に限らず、野菜には抗酸化作用があり身体を内側から変えてくれます。よって、野菜を摂取することは あなた自身を根本から変えてしまう可能性があります。
たった2週間、いつもより多めの野菜を摂取するだけで 行動やメンタルが改善したという報告があります。
体臭だけを目的とせず、脳死で大量に野菜を摂取することは極めて重要だと言えそうです。
ストレス対策
適度なストレスは人間にとって極めて大切な負荷ですが、これが大きいと体臭にも影響が出てしまうようです。
ストレスがかかるとホルモンバランスが崩れ、結果としてアポクリン腺から噴き出る汗が増えるようです。こちらの汗ですが、アミノ酸や脂質を含んでおりバクテリアの格好の餌になりますので是非抑えていきたいところです。
感情的になった時や怒られたりした時の汗、なんとなくベタッとしているのを感じたことはないか?
このストレスですが、適度な量でとどめて 必要以上にストレスがかかった場合は抑えていきたいものです。
ストレスや不安に対する科学的な処方箋は実は判明しています。こちらもぜひ併せてお読みください。
如何でしたか?
これまで不快な体臭を抑えることに焦点を当てて解説してきました。
ぜひこれら科学の知見をフルに活用して、自分の魅力向上に役立ててみてください!
さて、ここまでは「体臭の減点要素をなくす」ことに焦点を当てた解説でした。ここまで実践すると次に気になるのは「魅力的な体臭を作り上げること」だと思います。
以下の記事で、魅力的な体臭はどのようなものなのか そしてどのように作り上げていけばいいか解説しています。ぜひ読んでみてください!!
コメント