「手取りを増やそう!」というスローガンを掲げる政治家や経済評論家は多くいます。
しかし、実際に現役世代の手取りを増やすには、税負担や社会保険料の見直しが欠かせません。その中でも特に大きな負担となっているのが 「医療保険料」 です。
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初めまして。
解説人のMurasakiだ。
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どうも〜 社会の敗北者「ニート」です☆
毎月の給与明細を見て、「こんなに引かれるの?」と驚いたことはないでしょうか。
健康保険料に加え、さまざまな名目で稼ぎが取られ、気づけばかなりの額が社会保険に消えていきます。
これは、現在の日本の医療保障制度が 現役世代に大きな負担を求める仕組み になっているためです。
では、この医療保障制度は本当に持続可能なのでしょうか? 現役世代の負担を軽減し、より公平な制度にするためには何が必要なのでしょうか?
本記事では、 現役世代の手取りがどのように使われているのかを明らかにしながら、医療保障制度の改革の方向性について考えていきます。
今回の記事は医療に焦点を当てていますが、医療を含む「社会保障」自体の問題点を指摘した記事は以下。
また、社会保障を構成する「厚生年金」について書いた記事は以下。
上記の記事と同様ですが、ここでは一切の前提知識がなくても読めるように配慮してあります。
社会保障に問題点を感じている… が、何が問題なのかよくわからない という全ての方に読んでいただけるように執筆しています。
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もし「これがわからん!」「ここ、間違えてる!」等あったらぜひコメント欄に記載してくれ。
可及的速やかに対処する。
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よろしくね〜
そもそも医療保険とは?
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私たちは病気やケガをしたとき、病院で診察を受けたり、薬を処方してもらったりします。
その際、窓口で支払う医療費は全額ではなく、一部の自己負担で済んでいることに気づいているでしょうか? これは、日本の「医療保険制度」によって支えられています。

我々が安心して日々生活できるのは、ワンチャン何かあっても助けてくれる仕組みが存在しているからだ。
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ありがてぇ。
日本では 「国民皆保険制度」 が採用されており、すべての国民が何らかの公的医療保険に加入しなければなりません。
民間の医療保険と違い、公的医療保険は強制加入であり、病気やケガをした際に 自己負担を抑えて必要な医療を受けられる仕組み になっています。

えぇっ!!?強制加入なの???
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あぁ。名前の通り、国民「皆んな」保険制度だ。
公的医療保険の種類
これまで、日本の医療は国民皆保険で「全員が何かしらの保険に最低限加入している」と述べました。
日本の公的医療保険は、主に以下の3つの制度に分かれています。
- 健康保険(被用者保険)
- 会社員や公務員が加入する医療保険です。
- 健康保険組合や協会けんぽを通じて運営され、保険料は労使折半(会社と労働者で分担)されています。
- 国民健康保険(自営業者・フリーランス向け)
- 自営業者、フリーランス、非正規労働者、無職の人などが加入します。
- 市町村が運営し、保険料は所得や世帯構成に応じて決まります。
- 後期高齢者医療制度
- 75歳以上の高齢者が対象の医療保険です。
- 若い世代が支える形になっており、医療費の大半は現役世代の負担によってまかなわれています。
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え、、、
これ覚えるの???

この後何度か出てくる単語だから、覚えなくてもいいからフワッと存在だけは知っておいてくれ。
医療保険の仕組み
日本の公的医療保険では、病院での診療費用の 自己負担は原則3割 で済みます。高齢者や低所得者の場合は、さらに負担が軽減される仕組みもあります。
自己負担以外の部分は、保険料や税金を原資にした公的財源で支払われています。
また、 「高額療養費制度」 により、一か月の医療費が一定額を超えた場合、それ以上の自己負担は免除される仕組みもあります。
これにより、大きな病気やケガをしても医療費が極端に高額にならないようになっています。
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すげぇ、、めっちゃ手厚い。。、

あぁ。ただし、手厚いということは、それだけ誰かが支払っているということだからな。
現役世代の負担が重い理由
このように、日本の医療保険制度は充実していますが、充実しているということはそのまま裏返すとその負担を誰かにめちゃくちゃ依存しているということになります。
その財源は 現役世代の保険料と税金です。特に、少子高齢化が進む中で、働く世代の負担がますます増えているのが現状です。
次の章では、 「現役世代の手取りがどのように医療保障に使われているのか?」 を詳しく見ていきましょう。
医療保険は、現役世代を生贄に 働いていない高齢者に注ぎまくってる
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日本の医療保険制度は、誰もが一定の自己負担で医療を受けられる「国民皆保険制度」を採用しています。
しかし、その財源の大部分は 現役世代の負担に依存 しており、年々重くなっています。
なぜ、これほどまでに現役世代の負担が偏っているのでしょうか?
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なんで って。。。、

あぁ。察しの通りだ。
医療費の大半は高齢者に使われている
お察しの通り、これだけ充実した医療ですが そのメリットを最も享受するのは高齢者でしょう。
実際に、データでも凄まじい金額が高齢者の医療に注がれていることがわかります。
2024年にプラセボ製薬が作成したデータビジュアライゼーションを紹介します。日本の医療費の総額は46.7兆円に上り、その多くは高齢者に偏っています。
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上記のデータは2022年に厚生労働省が公開したデータを元に作成されました。
棒グラフに載っているグレーの折れ線は、人口プラミッドの階級別人口を表したものになります。
また、以下はMurasakiの手計算ですが
- 65歳以上の高齢者:全体の医療費の60.0%
- 75歳以上の高齢者:全体の医療費の38.8%
を占める結果でした。
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上記の計算だが、厚労省の生データを使って計算したわけではなく、あくまで上記のグラフの数字を用いてざっくり計算したことに注意だ。
すでに紹介した通りですが、医療保険がありますので 万一何かがあった場合でも、現役世代なら3割負担で医療を受けることができます。
しかしながら、世代別で窓口負担割合を見ますと
- 現役世代(69歳以下) → 3割負担
- 70~74歳 → 2割負担
- 75歳以上 → 1割負担
このように、年齢が上がるほど自己負担は軽減され、残りの医療費は公費や若年層の保険料でまかなわれる構造になっています。
特に 後期高齢者医療制度(75歳以上対象) は、現役世代の保険料による支援金がなければ成り立たない仕組みとなっています。
「後期高齢者支援金」という現役世代の重い負担
現役世代の給与から天引きされる健康保険料の中には、「後期高齢者支援金」という名目の負担が含まれています。これは、75歳以上の高齢者の医療費を支えるために、 現役世代から自動的に徴収 される仕組みです。
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ん?どうゆうこと?
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後期高齢者は、現役世代が収めた保険料から自動でお金を取り上げて自分達の治療費にできる仕組みが存在する。
2008年に運用開始された後期高齢者医療制度について紹介します。
これは、75歳以上の後期高齢者が現役世代の収めた医療保険のプールを自動で取り上げて自分達の医療費にできる制度です。
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内訳を見ますと、後期高齢者医療制度の財源は
- 公費(税金):50%(約半分)
- 現役世代(74歳以下)の支援金:40%
健康保険(協会けんぽ、組合健保、国民健康保険など)に加入している現役世代が負担
各健康保険制度から「後期高齢者支援金」として拠出される - 後期高齢者の保険料:10%
の3つになります。
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後期高齢者も少しだけ医療保険料を引き続き払っている。
が、支援金も公費(税金)もどちらもほとんどが現役世代が払ったものだ。
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また、この後期高齢者医療制度の財源のうち、現役世代からの支援金を「後期支援金」といい、その総額は6.3兆円に及びます。
この支援金は年々増加しており、企業が負担する分も含めると 1人あたり年間10万円以上 の支払いをしているとされています。
つまり、現役世代は自分自身の医療費をまかなうだけでなく、高齢者の医療費まで支えているのです。
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結構な金額だな…
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何を言ってんだ。
後期高齢者医療制度には税金が使われているだろ。これもほとんどは現役世代が払ったお金だぞ。
高齢者の医療は現役世代が支払った社会保険料(の医療保険料)に支えられています。
…が、それだけではなく税金によっても支援されていることに注意です。
社会保障費の増加と財源不足
すでに述べたように、高齢者の医療は現役世代が支払った社会保険料だけでは支えきれません。
追加で現役世代が支払った税金も高齢者の医療に投入されまくっていることを理解するべきです。
2023年 東京財団政策研究所が実施した「日本経済と財政に関する国民調査」の結果を紹介します。日本人の多くは、財政が厳しい理由は社会保障ではなく政治家の無駄遣い(裏金・オリンピック・万博等)だと本気で思い込んでいます。
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実際に日本の財政を圧迫しているのは、予算の1/3のを占める社会保障給付金なのですが これはほとんどの人が知らないようです。
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この国家予算からの社会保障の支出は「医療・介護・年金」も含んでいます。少子高齢化が進む中で、現役世代が負担する医療保険料や税金は 今後も増え続ける ことが確実視されています。
財源不足を補うために政府は「いかにして現役世代の負担を増やすか?」について頻繁に議論する一方、高齢者にどのように我慢してもらうかの議論はほとんどされません。
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確かに高齢者に対して医療費かかりすぎだと思うけど、高齢者なんだから当然じゃない?
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馬鹿なことを言うな。
「仕方ない」で放置した結果、現役世代から無限に奪い取っているのが現状だぞ。
高齢者が医療でお金を使うのは、確かに当然のことかもしれません。
だからと言って、現役世代から取り上げる金額を増やすことで現状維持することは容認できるのでしょうか?
そして、今の状態を放置した先にはとんでもないくらい未来が存在することを知っておくべきです。
ここからは、今の制度を維持しようとした結果何が起こるのか考えてみようと思います。
激増する高齢者 今の制度を維持し続けたら何が起こるか?
現役世代の負担増
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日本の少子高齢化は今後さらに加速します。2025年には「団塊の世代」が全員75歳以上の後期高齢者となり、医療や介護の需要が急増します。一方で、生産年齢人口(15~64歳)は減少の一途をたどり、「支える側」がどんどん減り、「支えられる側」が増える」という極端な人口バランスになっていきます。
現在でも後期高齢者医療制度の財源の40%は現役世代の負担によるものですが、今後、高齢者がさらに増えれば、その負担率はますます上昇していくでしょう。結果として、社会保険料や税金が引き上げられ、現役世代の手取りはさらに減少します。
また、医療費の自己負担割合が1~2割の高齢者が増えることで、医療機関の受診率も上昇し、無駄な医療費の支出が加速します。こうした構造的な問題が解決されなければ、 「働いても働いても社会保険料で手取りが減る」未来が待っている のです。
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まぁ、そりゃあそうだって感想しかないな。
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それなら、他の視点からも問題点を見てみようか。
医療・福祉産業 VS その他の産業
「高齢者が増える、だから支える側の負担が大きくなる」… は当然の帰結でしょう。ですが、同時に他のリスクも孕んでいます。
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どんなことが起こるの?
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端的に言うと、日本の産業が医療と介護のせいで崩壊するかもな。
高齢者が増えることで、医療・介護の人手不足が深刻化し、さらに多くの若者が医療・福祉産業へと流れていきます。すでに介護業界では人手不足が深刻であり、政府は外国人労働者の受け入れ拡大や給与の引き上げなどの対策を講じています。
実際に、産業別の従事者の数を推計した調査を紹介します。
独立行政法人 労働政策研究・研修機構が2024年に公開したレポートを紹介します。あらゆるシナリオ(日本が経済成長する場合・停滞する場合等)で2035年には日本最大の産業は医療・福祉になることがわかりました。
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しかし、この動きは 他の産業の労働力を奪う形になり、日本の経済全体を破壊する要因 となるでしょう。
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え、え、なんで!!!?
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結論から言うと、患者が高齢者である場合 医療・福祉産業は生産性がゼロ(どころかマイナス)だからだ。
例えば、製造業やIT産業、研究開発分野などの国際競争力の高い産業が慢性的な人手不足に陥れば、適切なサービスを供給できず また海外からお金を稼ぐこともできないので日本はますます富が流出することになるでしょう。
日本はエネルギー生産国ではないので、どうしても海外からエネルギーを輸入しなければなりません。換言すれば、日本は外国とビジネスをしてお金を稼がなければ 国富が流出しまくる国であると言うことです。
TOYOTAやSONYなど、日本には優秀な企業がいくらでも存在しますが 彼らは外貨を稼いで日本に貢献している側面も大きいです。
一方、医療・福祉産業は基本的に国内向けのサービスであり、 海外市場での競争力を持たないため、国としての経済的な発展にはつながりにくい のです。
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なんなら、若者の病気を治したら 彼らは職場に復帰をして付加価値を生み出してくれるでしょう。
ですが、高齢者は治したところで何も生産性がないので、高額のお金とリソースを投入しても日本全体としては幸せにはならないでしょう。
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流石に言い過ぎじゃ?
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「社会」保険料で他人の金を使って、生産性のない人間を治しているのだから、事実を言ったまでだ。
そもそも高齢者を治すとは何でしょう。
年を取って体のあちこちが不調になるのは当然です。そこに医療を投入しても40代の頃のように回復しないわけですし、なんなら何も生産しないのですから、他人のお金で治すのは意味不明でしょう。
結果として、 「高齢者を支えるために社会全体が疲弊し、経済成長が止まり、若者がますます苦しくなる」 という悪循環に陥るのです。
また「医療を維持するのは大事なことだ!!!!」と主張したい人もいるでしょうが、今の医療を維持して 労働者が医療・福祉産業に流れ続けたら 社会のインフラ維持すら困難になるでしょう。
埼玉県八潮市の道路陥没事故は記憶に新しいですが、道路 電気 水道 ガス インターネット等の社会インフラが維持されているのは、これらの産業に従事している人が存在するからです。
医療・福祉の維持のためにこれらの産業から労働者を奪い続ければ 今後益々日本のインフラ維持が困難になり、医療以前にマトモな生活を送ることすら困難になるでしょう。
このまま何の改革も行わなければ、「高齢者福祉の充実」=「日本経済の衰退」 という構図がより鮮明になってしまいます。では、どのようにすればこの問題を解決できるのでしょうか?次の章では、パッと思いつく医療の無駄を考えてみましょう。
医療の無駄リスト
これまで日本の医療が充実しすぎている一方、結果として高齢者による消費が増えすぎてしまうことを解説してきました。
また、そんな高齢者のために 現役世代はお金を益々取り上げられ、労働者は生産性のない産業(医療・介護)に投入され、日本全体が貧困に進んでいくことを解説してきました。
これまで、高齢者の医療は聖域とされ 改革のメスが入らず、道徳的優位性(高齢者は弱者なんだから、助けなきゃ🥺)を傘に放漫な支出が放置され続けてきました。
ここからは、明らかにそこにお金を流すのは意味不明じゃないか…?と思われるポイントに絞って 医療の無駄を解説していきます。
OTC類似薬を保険から外す
まず、明らかに無駄であり 改革の余地があるのはOTC類似薬の保険適用を外すことでしょう。
OTC類似薬とは、OTC医薬品と効果やリスクなど薬の性質が似ていながら、医療保険でカバーされており、処方箋が求められる医薬品のことです。
その代表例が湿布です。
雑に言うと、湿布は薬局で買えるのに病院で貰うと高齢者は1割負担でお得な謎商品だからです。
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いやいやw 湿布ごときでめくじら立てなくても…
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塵も積もれば山となる。
どれくらいの金額が湿布に流れているか知っているか?
湿布如きでめくじらを立てるなとも思いますが、実際のデータを見てみましょう。
厚生労働省が発表した「第1回NDBオープンデータ」の「薬剤」のデータによると、湿布の処方量は年間総計およそ54億5千万、薬剤費はだいたい1300億円と推計されます。
湿布だけでもこの金額規模ですが、さらに他のOTC類似薬も含めた医療費の規模がどれくらいなのかを見てみましょう。
2024年に公開されたレビューを紹介します。65歳未満の患者でOTC類似薬のみの処方によって発生した医療費の総額は1兆635億円でした。
65歳未満を対象とした健康保険組合連合会[2023]の推計では、 医療機関受診時の処方がOTC類似薬のみの医療費総額は年間1兆635億円(うちOTC類似薬919億円)に のぼるとしている。OTC類似薬の入手を主な目的としたいわゆる「お薬受診」により、薬剤費そのもの よりも医療機関や薬局の報酬により多くの費用がかかっていることを示唆している。
OTC 類似薬はOTC 医薬品に区分を -本質は医療用医薬品から処方箋医薬品への原点回帰-
この研究が示唆しているのは、65歳未満の患者に限ったOTC類似薬のみの処方で1兆円規模の医療費がかかっている一方、高齢者ほど病院に足繁く通っているため 実際には1兆円以上の金額がOTC類似薬のみの処方(と診療)にかかっていると言うことです。
薬局でそっくりな薬を買えるのに、病院で貰うと1割負担なので 老人は大挙を成して病院に群がっています。
明らかに意味不明な支出ですので、ここを絞ることは即座に実行すべきです。
終末医療、要介護老人

次に「本当に意味があるのか考えるべき」は終末医療です。
終末期の明確な定義は存在しないようなのでこのブログ用に定義すると「寿命を全うし身体が徐々に朽ちて死にゆく患者に、無理やり延命治療を施す医療行為」といった感じでしょうか。

え、、これって医療保険でカバーされるの?

意味不明だよな。
終末期の患者は、どんなに頑張って医療を提供しても 寄る年波を乗り切ることは不可能です。
なんなら本人の意思確認も困難でしょう。もしかしたら今の苦しみから解放されたくて、これ以上の医療行為を望んでいないかもしれません。
にも関わらず、胃に穴をあけて無理やり栄養をブチ込む治療(?)が他人の払った社会保険料で平然と行われているのが実態です。
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世界一の海賊と言われた白ひげ「エドワード・ニューゲート」ですら 戦いの最中突如吐血し膝をついて倒れました。
それだけ老化に逆らうことは困難なのです。
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たまにONE PIECEの引用するよね。
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小学生のとき、本気で海に出て七武海倒そうとしひてたくらいだからな笑
では、終末医療にどれくらいのコストが掛かっているのでしょうか?
終末医療に関しての研究はいくつか存在するようですが、私のリサーチ能力では 少し古い研究しか見つかりませんでした。
いくつかの研究を統合した終末医療に関する研究の結果を紹介します。終末医療を死亡1ヶ月前の医療と定義すると、全体の3%ちょいくらいが終末医療によるコストであることが判明しました。
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2000年、2005年、2007年の研究どれをとっても医療費の3%程度であることが結果として出ています。
※2000年、2005年の研究は国民医療費全体の3%ちょい、2007年の研究では高齢者医療の3.4%であることに注意
この研究結果を鵜呑みにするなら、2022年時点で国民の医療費総額は46.7兆円ですから 少なめに3%と見積もった場合1.4兆円が終末医療によって毎年浪費されている計算です。
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結構でかいな…
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あぁ。1.4兆円あればかなり色々できると思うんだけどな。
「家族が終末期に差し掛かったとき、同じことが言えるのか!!!!」
と言うのが典型的な反論だと思いますが、そもそもこの状態になって生きていると言い切るのは考える余地が多分にありそうです。
また、終末期手前の「要介護4~5」の状態も議論の余地が多分にあるでしょう。
生活のあらゆることを介助なしで実行できない場合「要介護4以上」に認定されます。食事も、排泄も、何もかもに介助がないと実行できない状態です。
2023年時点で、要介護4以上の患者数は148.5万人存在します。
これは、令和2年度の京都市の人口とほぼ同等で、2024年に生まれた子ども68.7万人の2.2倍です。
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要介護4以上の高齢者の排泄や食事を、2024年に生まれた子ども全員に介助させる場合 ひとりで2.2人の面倒をみなければならない計算です。
要介護4以上に認定された時点で、絶対に回復することはないでしょう。
何なら、以下の記事で解説していますが 令和の老人はほとんど社会保険料を納めていないのに、納めた金額を遥かに超えるサービスを受けています。
ほとんどお金を払っていないのに全サービスを受け取り、しかもそのお金は他人の現役世代が稼いだお金を取り上げることで何とか維持する… そして辞めてほしいと言ったら「人権侵害!!!!」などとギャオってくる人がいますが、そもそも今の現役世代と同等の金額を収めてもらわないと対等な議論のスタートすらできないでしょう。
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確かに気持ちはわかるけど、じゃあ「実際に自分の親が要介護4になったときどうするの?」っていう現実的な問題が発生すると思うんだけど。
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いい質問だ。これについては「介護保障改革入門」で現実的な解決策を提案するつもりだ。
高齢者の医療窓口負担1割 → 3割
すでに解説しましたが、高齢者が支払ってきた社会保険料は 現役世代から見たら遥かに少ない額である一方、あらゆる医療を格安で無限に受けられる謎の非対称性があります。
この状態を放置して医療費を削減するのは夢のまた夢でしょう。
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じゃあどうすればいいの?
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簡単だ。病院に行くなら その分ちゃんと高齢者に負担して貰えばいい。
現在、日本の後期高齢者はほとんどの場合病院での窓口負担は1割で抑えられています。69歳以下は3割負担ですから、小学生や中学生でも3割負担しているのに 高齢者はその1/3で済むのは明らかに異常でしょう(しかも大した社会保険料を払っていないわけですし)。
特に問題なのは、医療が安いから大した病気でもないのに頻繁に病院通いする暇な老人で溢れるということです。
実際研究では、医療が安くなる75歳前後で急激に医療の回数が増えることが確認されています。
重岡仁教授の研究では、70歳というカットオフ値の前後で、外来患者数や入院患者数の「ジャンプ」が観察され、特にひざの痛みなどの関節痛の患者が急増。 さらに続きがあって、自己負担割合が低下し、受診や入院の頻度が高くなっても、死亡率は変わらない、
医療だけでなく)保険市場は限界費用が右下がりになるので、命にかかわる医療だけ税負担とし、医療保険を民営化するのは、とても理にかなっています。 任意加入とする民間保険は、(自動車保険のように)年齢・健康診断(罹患リスク)に基づいた等級制度で保険料を決めるようにすればよいでしょう
このように、医療が安くなり しかも働いていないので暇だから病院通いしている老人が大変多いですが、これを無駄な医療と呼ばずして何と呼べば良いのでしょうか。
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たしかにw
病院は朝から老人だらけだもんなwww
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このようにタダに近い金額で医療が提供されると、モラルの崩壊が起こるんだ。
さらに、他の研究でも「医療費を上げると受診回数が抑制される(ランド医療保険実験)」「医療保険がなくても健康被害はほとんどないかもしれない(オレゴン医療保険実験)」等の研究も存在し、高齢者にもう少し負担させても大きな問題になる可能性は低いでしょう。
高齢者の医療窓口負担を3割にするだけで、医療費の削減は5兆円前後を見込まれており この改革を実行できるかどうかは「社会保障改革全般の資金石」になるでしょう。
健康増進
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続いて健康増進の取り組みについて考えてみましょう。
健康を増進するような取り組みを行政が主導し、それによって病気につながる可能性を減らすという発想です。
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え、、、これって何が無駄なの?
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医療系税額の研究では、この健康増進の取り組みが実際に効果があるのか検証がされている。
確かに健康を増進すれば、意識が変わり より健康的な毎日を送れるようになって、結果として医療費の削減に貢献するでしょう。
しかし、客観的な研究が指摘しているのは健康増進の取り組みは必ずしも医療費削減につながらないというものになります。
なぜならば、血圧、血糖、脂質、歩行時間等を調べると確かに健康的な生活を送っている人は生涯の医療費が下がることが知られていますが、これを行政の政策として実施すると そこにお金がかかってトータルでお金が多くかかってしまう場合があるからです。
また、喫煙習慣のある人は早死にしますが 結果として「不健康である人ほど早死にするので、むしろ医療費が安く収まる」といった側面も見逃せません。
このように、健康増進政策によって医療費が下がるという主張は医療経済学の研究では「必ずしもそうとは限らない」というのが共通認識となっているようです。
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日本の各自治体に散らばる、謎の健康増進事業は 何のエビデンスにも基づかないということだ。
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うわぁ。。、
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日本のさまざまな自治体が「健康増進」などを根拠に、高齢者の移動代を支援したり 老人サークルなどに予算をつけていますが、これらには全く科学的根拠がないことを理解するべきです。
反対する老人の中には
「我々もお金を払ってきた(だから現役世代が老人の移動代を出せ)」
「君も歳をとる(だから敬老パスや敬老祝い金などのサービスを廃止するな)」
等々、あらゆる言い訳を用意してきますが 一切耳を貸してはいけません。
今回の医療保険とは少し話が外れましたが、国や地方自治体が「健康増進政策」を打っても医療費削減にはつながらない… どころか、老人が遊ぶ金を税金で支援しているだけと心得るべきです。
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この手の老人、ウザいよな笑
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彼らにわかってもらうのは難しいかもしれないがな。
ちなみに「これら健康増進の取り組みに客観的なエビデンスがないから、そんな意味不明なことをやってないでちゃんと社会保障改革しなさいよ」と言ったのは、何かと叩かれている財務省です。
そして、そんな彼らに対して反論してきたのは日本医師会です。
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日本医師会曰く
「大変恣意的」
「地域での健康づくりの活動に水を差す。強い怒りを感じている」
なんか特定のクラスターの人たちがよく「財務省解体デモ」等々やっていますが、皆さんが困窮しているのは財務省のせいじゃないですよ… とだけ言っておきます。
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財務省じゃないってことは。。。、
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よし。
最後にこの「医療という最大の利権で美味しい思いをしているのは誰か?」を話そう。
医療保険改革を困難にしているのは、やはり利権構造
医療保障制度の改革が必要であることは、多くの専門家や政治家も認識しています。しかし、実際には大きな改革がほとんど進んでいません。その理由の一つが、医療業界を取り巻く強固な利権構造です。
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うげぇ。利権が絡んでるの???
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あぁ。最後にこの利権構造について説明して「本当の敵」を知ってもらってこの記事を終わろうか。
社会保障を握る厚生労働省
日本の医療保障制度を取りまとめているのは厚生労働省です。厚生労働省は、国民皆保険制度の維持や社会保障全般を統括しており、医療保険の財源や給付の仕組みを決定する大きな権限を持っています。
しかし、この厚生労働省が医療改革を進めようとするたびに、 強い抵抗勢力が立ちはだかる という構造が長年続いています。その中心にいるのが、日本医師会(医師の業界団体)です。
厚生労働大臣に日本医師会の人間が就任した過去
厚生労働省のトップである厚生労働大臣には、過去に日本医師会の関係者が就任したことがあります。
実際に2023年9月13日 – 2024年10月1日の間で、日本医師会の会長を父に持つ武見敬三氏が厚生労働大臣に就任しました。
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やばすぎるだろ。。。、
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陰謀論でも何でもない。ただただ利権を守るための構造がそこにあると理解してくれ。
これは、医療政策の決定権を医師側が握ることを意味し、結果として 医師にとって都合の良い政策が優先され、医療保険改革が進まない原因の一つ となっています。
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例えば、診療報酬の引き上げや、医療機関への補助金の増額といった政策は比較的スムーズに進みますが、高齢者医療の自己負担増や医療費の適正化といった「支出を抑える改革」には強い抵抗が発生します。
さて、武見敬三氏ですが彼は自由民主党の議員でもあります。これが意味していることとは…
日本医師会と自由民主党の密接な関係
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日本医師会は 自民党に対して最も献金をしている団体の一つ であり、長年にわたって政界に強い影響力を持ち続けています。医師会からの支援を失うことは選挙において大きな痛手となるため、与党政治家たちは日本医師会の意向を無視できないのが実情です。
結果として、政府は医療保険制度の根本的な改革に手をつけられず、現役世代の負担は増え続けるという悪循環が続いているのです。
このような 利権構造が改革の障害になっている限り、医療保険制度の抜本的な見直しは極めて困難 です。
医療保障改革はめっちゃ大変だけど、やるしかない
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これまで、医療にいかにして無駄が注がれているか?そしてその背景には強固な利権構造が存在することまで解説してきました。
明らかに維持が困難(維持するためには、現役世代に対して凄まじい負担が課せられる)ことを鑑みると、日本において最も大きなイシューの一つであると言って良いでしょう。
少しでも多くの人が、医療の問題点を理解し それによって行動変わっていくことを願って この記事を終わりたいと思います。
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