ILO(国際労働機関)とポーランドの国立研究機関NASKが2025年5月20日に共同公表した、生成AIの職業別曝露に関する改訂版グローバル指数を紹介します。生成AIが労働市場を均等に削るのではなく、特定の性別に偏って直撃することが定量的に示されました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 論文タイトル | Generative AI and Jobs: A Refined Global Index of Occupational Exposure |
| 著者 | Pawel Gmyrek(ILO・筆頭著者), Marek Troszyński(NASK)ほか |
| 掲載誌 | ILO Working Paper No.140(2025年5月20日公表) |
約3万件の実タスクと5万件を超える人間による評価、さらに専門家の検証を組み合わせて、職業ごとの生成AI曝露度を再構築した指数です。従来の推計が理論上の自動化可能性を過大に見積もっていた点を是正する目的で設計されています。
分析の結果、世界の雇用の25%が生成AIに曝露しうる職業に属しており、全職種の中で曝露度が最も高いのは事務職(clerical)であることが示されました。生成AIが得意とする文書作成、情報整理、定型的な処理が、事務職のタスク構成と高い割合で重なるためです。
さらに決定的なのは、その直撃が性別に対して非対称である点です。高所得国において、最高曝露カテゴリに属する雇用の割合は、女性で9.6%、男性で3.5%でした。女性が事務・管理補助の職務に集中しているという職業分離の構造が、そのまま曝露度の格差として表面化しています。
ただし同報告は、曝露度の高さが即座に職の消滅を意味するわけではないとも指摘しています。多くのタスクは効率化されても人間の関与が残るため、完全自動化の余地は限定的であり、変化の主たる形態は「消滅」ではなく「職務内容の変質」になると整理されています。