カリフォルニア大学バークレー校のダッシャー・ケルトナー(Dacher Keltner, 2001)の研究『Just Teasing: A Conceptual Analysis and Empirical Review』によれば、社会的地位の高い人間は、社会的地位の低い人と比して 他人を多くいじることがわかりました。
High-power individuals are less dependent on
Just Teasing: A Conceptual Analysis and Empirical Review
others (e.g., Emerson, 1964) and are less concerned about the
face-threatening potential of their actions (Brown & Levinson,
1987); therefore, they should be both more likely to tease than
low-power individuals and more likely to tease in a more hostile
manner.
このレビューでは、社会的地位の高い人が他人をイジる理由として
- 面子(フェイス)への懸念の低下:
社会的地位が高い人物は、他者への依存度が低いため、自分の行動が「相手の面子を潰してしまうかもしれない」というリスクや不安をあまり気にしなくて済む。 - 直接的なコミュニケーションの選択肢:
心理的なハードル(面子への懸念)が低いため、本来なら配慮が必要なデリケートな話題であっても、遠回しな表現を使わずに直接的、あるいは少ないオフレコ・マーカー(冗談っぽく見せる合図)でイジることが可能になる。
と主張しています。
その根拠となる実証研究として
- 組織(病院)での観察:
病院のスタッフ会議において、シニアスタッフ(上司)はジュニアスタッフ(部下)を対象にして笑いをとったり、イジったりする傾向が有意に高かった。 - 医療現場の階層:
産婦人科・婦人科の現場において、イジりを発信する頻度は「医師 > 助産師 > 看護師」の順であり、明確に職位の権力階層と一致していた。 - 子供のコミュニティ(夏キャンプ・学校):
同級生による格付け(ソシオメトリック・レーティング)において、ピア(仲間内)で「人気がある」「ステータスが高い」と評価された子供や、指導者から「影響力がある」と認められた少年ほど、他者をイジる頻度が高く、かつその身体的・言語的な挑発内容がより攻撃的(Hostile)であった。 - イジりの質(辛辣さ)の違い:
実際の学生寮(フラタニティ)のメンバーを対象にした研究では、高ステータスな上級生によるイジりは、新入生(低ステータス)へのイジりに比べて、攻撃的な挑発が多く、礼儀正しい配慮(ポジティブ/ネガティブ・ポライトネス戦術)がほとんど含まれないという、剥き出しで辛辣なものになりやすいことが分かっている。
ことを挙げました。