2019年のショーン・グローバー(Shawn Grover)とジョン・ヘリウェル(John F. Helliwell)の研究を紹介します。「幸福な人間がもともと結婚しやすいだけではないか」という選択効果の反論に、縦断データで正面から答えた研究です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 論文タイトル | How’s Life at Home? New Evidence on Marriage and the Set Point for Happiness |
| 著者 | Shawn Grover, John F. Helliwell |
| 掲載誌 | Journal of Happiness Studies 20(2), 373-390(2019年2月) |
英国の家計パネル調査(British Household Panel Survey)を用いて、同一人物を長期追跡したデータから、結婚と生活満足度の関係を分析したものです。英国の年次人口調査(Annual Population Survey)のデータも併用されています。
分析の結果、結婚前の時点における本人の幸福度の水準を統制した後にも、既婚者の生活満足度は依然として高いままでした。著者らはこれを、結婚前の高揚期から長期間続いた結婚生活に至るまで、結婚のあらゆる段階において因果的な効果が存在することを示唆するものだと論じています。
さらに、年齢層ごとの生活満足度を比較すると、既婚者は未婚者よりも中年期の落ち込み(U字カーブの谷)が浅いことが示されました。結婚の効果が短期的なものではないことを意味します。
そしてメカニズムとして友情が検討されています。配偶者が同時に自分の最良の友でもある場合、結婚による幸福度への効果は約2倍の大きさになりました。
つまり結婚という状態そのものが自動的に幸福を生むのではなく、どのような関係を築けたかによって効果の大きさが決まるということです。