2020年のカミーユ・テリエ(Camille Terrier)の研究を紹介します。匿名のペーパーテストと教師による非ブラインド採点を比較することで、教師の無意識のジェンダーバイアスが男子生徒の成績評価を低く抑え込んでいる実態を明かしました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 論文タイトル | Boys lag behind: How teachers’ gender biases affect student achievement |
| 著者 | Camille Terrier |
| 掲載誌 | *Economics of Education Review*(2020年) |
研究では、中学校における同一の生徒集団に対し、採点者が生徒の氏名・性別を知らない「ブラインド採点(匿名の標準化テスト)」と、担当教師が生徒を識別して採点する「非ブラインド採点(学校のテスト・成績評価)」の得点データを比較分析しました。
分析の結果、担当教師はまったく同じ答案や学力を持つ生徒であっても、女子生徒に対してより高い点数や評価を与える傾向(Grading Bias)が存在することが実証されました。特に数学などの理系科目において、匿名のブラインドテストでは男子と同等以上の成績であるにもかかわらず、教師の主観が入る採点では女子が不当に優遇される現象が確認されました。
この採点バイアスは、学力ギャップの約21%を説明する強力な要因となっており、評価で損をさせられた男子生徒は長期的に学習意欲や成績向上率を低下させる一方で、優遇された女子生徒は過剰な評価によって理系選択率が高まるという構造的歪みが指摘されています。
この研究は、教師や採点者の主観が入る成績評価(GPAや評定)は非ブラインド評価の偏向を受けやすく、客観的な学力指標としては不完全であることを実証しています。