2020年、Marraらによって発表された総説論文を紹介します。「手術や器具でペニスは本当に大きくなるのか?」という疑問に、17の研究と1,192人の男性データをもとに答えた画期的なレビューです。
Evidence on penile enhancement interventions is lacking. Nonetheless, many non-evidence-based solutions are readily available.
Systematic Review of Surgical and Nonsurgical Interventions in Normal Men Complaining of Small Penis Size
この研究では、異常のない“正常な男性”が自身のサイズに不満を持ち、拡大を希望するケースを対象に、手術および非手術的アプローチの有効性を比較。最終的に21種類の治療法が検討されました。
その結果、次のようなことがわかりました:
- トラクション器具(extenders):フニャ時の長さが最大2cm弱伸びた例あり。リスクは少ないが、即効性や劇的な変化は期待薄。
- 注入系(ヒアルロン酸など):一時的に太くなるが、副作用が多く、満足度も低い傾向。
- バキュームポンプ:サイズ変化は認められず、見た目の変化も乏しい。
- 手術(靭帯切断・皮膚移植・フラップ形成など):一部でサイズ増加あり。ただし合併症が多く、どの方法も外部での再現性(再検証)がない。
さらに注目すべきは、「多くの男性がカウンセリングを受けた結果、“自分のサイズは正常範囲”だと理解し、治療をやめた」という点です。
この論文は、「サイズアップしたい」という悩みに対し、効果のある方法も一部存在するが、リスクや科学的根拠の乏しさを見極めることが大切だという警鐘を鳴らしています。
非手術的な方法(特にトラクション系)はまだ現実的な選択肢として検討の余地があり、手術は最後の手段、しかも臨床試験以外では倫理的に疑問が残ると締めくくられています。