2024年の井門康司(Koji Imon)の研究を紹介します。1994年から30年間にわたり実施された名古屋工業大学における女子推薦入試(女子枠)の長期データを分析し、女子学生比率の推移と入学後の修学・進路状況を報告しました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 論文タイトル | 名古屋工業大学における女子推薦入試の実施とその効果について |
| 著者 | 井門 康司 |
| 掲載誌 | *工学教育*(2024年) |
研究では、名古屋工業大学の学科(機械工学科、電気・機械工学科)において1994年から導入された女子推薦入試制度の30年間の全データを集計し、女子学生比率の変化、入学後の単位取得状況、および卒業後の進路(大学院進学率・就職)を分析しました。
論文内では、女子推薦枠で入学した学生のGPAや修学状況について「一般選抜生と比べて大きな問題はなく、成績も遜色ない」と記述されています。

全体的な傾向として,一般入試の後期日程で入学してきた学生の成績がよく,次いで前期日程で入学してきた学生,一番GPAが低いのが女子推薦入試で入学してきた学生という順になっている.2015年度および2016年度入学者のように,若干差ができている場合もあるが,全体的にその差はそれ程大きいものではなく,前期日程で合格して入学してくる学生の成績と遜色ない成績であると判断している.なお,前期日程や後期日程の一般入試で入学する学生数に対して,女子推薦で入学する学生数が少ないため,極端に成績が不振の学生がいると,図5で示したGPA平均に大きな影響が出やすいことに注意が必要である.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsee/72/1/72_1_20/_pdf/-char/ja
しかし、統計的な有意差検定(p値など)を伴わない大雑把な記述にとどまっており、非ブラインド評定によるGPAの底上げ効果を考慮していない点に不十分さを感じます。

最も注目すべきデータは、卒業後の進路に関する実態です。女子推薦枠で入学した学生は、一般選抜で入学した学生と比較して「大学院への進学率」が明確に低い傾向が示されました。女子枠生の大半は学部卒業後にそのまま就職を選択しており、研究者や指導的立場を目指す院進学率は低調でした。