2009年、カリフォルニア大学サンタバーバラ校の研究者らが発表した報告を紹介します。人間の認知メカニズムには、他人の上半身の筋力=戦闘能力を見抜く機能が組み込まれていることが実証されました。
Here, we report tests supporting the hypothesis that the human cognitive architecture includes mechanisms that assess fighting ability—mechanisms that focus on correlates of upper-body strength.
Human adaptations for the visual assessment of strength and fighting ability from the body and face
研究では、アメリカの大学生を対象に、米国人、ボリビアの農耕民、アンデスの牧畜民といった多様な男性の顔や体の写真を見せ、その筋力を推定させました。
階層線形モデルを用いた分析の結果、被験者たちは身長・体重・年齢などとは独立した「上半身の筋力の手がかり」を読み取っており、それが実際の筋力と強く一致していました。
顔のみの情報でも精度は高く、女性の筋力推定も男性ほどではないものの有意に行われていました。
これは、人間が生得的に「戦える相手かどうか」を見抜く能力を備えていることを示す初の実証研究です。