【論文】アファーマティブ・アクションとSTEM分野におけるミスマッチ現象

2012年のピーター・アルシディアコノ(Peter Arcidiacono)らの研究を紹介します。アファーマティブ・アクション(優遇枠)によって本来のテスト学力よりも実力基準の高い大学に入学させた場合、過酷なSTEM分野で成績低迷や専攻離脱を引き起こす「ミスマッチ理論」を実証しました。

項目内容
論文タイトルAffirmative Action and Student Performance in STEM
著者Peter Arcidiacono, Esteban M. Aucejo, Joseph Hotz
掲載誌*NBER Working Paper*(2012年)

研究チームは、大学入学時の選抜優遇措置(アファーマティブ・アクション)によって合格した学生の、入学後のGPA、科目履修選択、およびSTEM(科学・技術・工学・数学)専攻の卒業率を長期的データに基づき統計モデルで分析しました。

分析の結果、優遇枠によって自身のペーパー学力(テストスコア)より著しく難易度の高い大学に入学した学生は、STEM分野からの脱落率が顕著に高くなることが実証されました。STEM教育は知識が積層型(1年次の微分積分や基礎物理の理解が前提)であるため、入試ボーダーの引き下げによって基礎学力の乖離が生じた場合、上級年次で授業理解の限界に直面するためです。

研究では、仮に合格基準が同等のミスマッチの少ない大学に入学していた場合、これらの学生は理系専攻を変更することなく高い確率でSTEM学位を取得できていたと分析されています。大学のネームバリューや優遇枠による強引な入学が、結果として学生本人の理系キャリア構築を阻害している実態が明かされました。

この研究は、学力試験のボーダーを免除・下落させた優遇枠(クオータ制や女子枠)は、大学教育における学力ギャップを生み出し、STEM分野からの挫折とドロップアウトを招くという強固な実証的反証を提示しています。

タイトルとURLをコピーしました